泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

かの西駒でさえも

http://www.shinmai.co.jp/news/20070406/KT070404FTI090009000022.htm

障害者ケアホーム一時閉所 支援法導入で報酬減響く
 飯田市松尾上溝でNPO法人「ひだまり」が運営する知的障害者ケアホーム「萌生」(ほうせい)が一時閉所に追い込まれ、県の知的障害者総合援護施設「西駒郷」(駒ケ根市・上伊那郡宮田村)から移って暮らしていた3人が、ショートステイ扱いで再び同施設に戻っていたことが5日、分かった。
 昨年4月施行の障害者自立支援法で報酬が見通しを大幅に下回って経営を圧迫、入所者の世話を一手に引き受けていたスタッフ男性(49)が病気で入院し、後任を確保できなかった。同様の小規模ホームで経営難に陥いるところも出ており、障害者の生活拠点を大規模な入所施設から地域に移す国や県の取り組みは、このままだと壁にぶつかる懸念もある。
 「萌生」が一時閉所したのは、3月19日。入所者の親たちはその数日前に、法人から「入院する男性のほかに代わる職員がいない。西駒郷に一時、ショートステイの形でお返ししたい」と告げられた。
 「安心して息子をお任せできたホームを離れるのは、とても残念です…。でも、(再開への)望みは捨てていない」。昨年春に西駒郷を出て同ホームで暮らしていた重度障害のある松下聖さん(42)の母の民子さん(66)=下伊那郡豊丘村=は声を詰まらせる。
 西駒郷の集団生活を離れた息子は地域生活にすっかりなじみ、スタッフ男性や2人の同居人と、家族のように食卓を囲んでいた。
 同様に西駒郷から移ってきた同居人の2人は、食事などで介助がいらないが、他害、自傷の行為やパニックを起こすことがあり、24時間の見守りが必要。だが、昨年10月、新しく導入された支援法の市町村による入居者の審査で障害程度区分が従来より低く判定され、その結果、国や県からホームへ支払われる額が下がった。
 「萌生」の赤字額は毎月数10万円。「ひだまり」は、介護など法人のほかの事業収入で補ってきたという。
 スタッフ男性は、ほぼ毎日泊まりを勤め、夜間に最低5回のおむつ交換や見回りをこなしていた。昼間、介護の仕事の合間を縫い、車の運転席でわずかに仮眠を取ることもあったという。男性は「人員態勢を整え、再開したい。だが、続けていくには、収入保障がなくては。法人も努力はしたが、見通しがつかない中、休止せざるを得なくなった」と話している。