泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

被災した「最先端の老舗」をみんなで支える意味

いま「被災」と言えば、北海道を思い描かれる方が多いのだろう。

9月4日に上陸した台風21号は近畿地方に大きな被害をもたらした。2週間が経ち、全国的には次第に忘れられつつある気もする。しかし、ここに注目してほしい台風の大きな爪痕がある。

寝屋川市民たすけあいの会」の受けた被害だ。 先に書いておくと、以下は寄付募集と情報拡散(はてなブックマークSNSでのシェアなど)のお願いである。自分はこうしたことをあまりブログでやってこなかった。そんなに長い記事ではないので、どうか読むための時間を少しください。

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ずいぶんと古めかしい名前の団体と思われるだろうが、「寝屋川市民たすけあいの会」のことを知る人は障害児者の支援や地域福祉と関わる人に多い。 

大阪府寝屋川市で活動拠点を得て、現在の名前になったのが1978年。地域で生きていくための福祉サービスがひどく欠けていた時代。生きるために必要な支えを欠いた人々のために、ボランティアによるユニットが次々と創発して専門職とも協働しながら住民主体での問題解決を目指した。単なる制度の補完をするのではなく、専門職の支援だけに囲まれた暮らし、助ける者と助けられる者に分けられる地域社会に疑問符をつけた。いわゆる「共生」の思想。 

それから月日は流れて、「福祉サービス」は増えた。「専門職」も増えた。それで「地域」や「ボランティア」は不要になっただろうか。通える福祉施設のできた障害児は、それだけで幸福になれただろうか。多様性を認め合える社会は育まれているだろうか。使える制度がないからサヨウナラと見放される住民はいないだろうか。

寝屋川市民たすけあいの会」は今でもボランティア・ビューローを拠点として、いわゆる「福祉サービス」も行いながら、どこもやらないような支援を続けている。団体の活動紹介を見ると、採算をとるのが難しい事業やまったくお金にならない活動が並んでいて、運営の大変さを想像して頭が下がる。自分にとっては「最先端の老舗」だ。

リスペクトのあまり、少し紹介が長くなった。その団体が甚大な被害を受けて、寄付を募っている。被害の状況は団体のサイトや、

neyagawatasukeai.org

YouTubeでも見られる。

www.youtube.com

「使ってきた建物が古すぎたのではないか」と言われるかもしれない。決して楽ではない運営を続けてきた団体が、ハードよりもソフトを最優先にさせてきた結果として理解してほしい(「民家の活用」もある時期までは都合よくもてはやされてきた)。

「自然災害なのだし、公的な補助はないのか」という疑問が湧くかもしれない。国による福祉施設向けの補助制度はすでにアナウンスされている。でも、現在のところ、今回の被災内容は補助「対象外」とされているそうだ。賃貸物件であること、被災した建物で実施しているのが市町村の事業であることなどが理由らしい(9月18日現在)。

寝屋川市の公的施設も大きく被災して、地方自治体レベルでの対応も容易ではないようだ。住民が自ら課題解決のために動くのを支援してきた団体。公的なサービスにはとらわれない支援を続けてきた団体。そこで生じた危機を解決するために力を発揮できるのは「行政」ではないのかもしれない、とも思う(もちろん期待はしたいけれど)。

寄付の募集はセカンドステージに入っている。ファーストステージの200万円はすでに達成した。これはおそらく障害福祉や地域福祉の関係者が多く協力したものだ。しかし、台風後にも降り続いた雨で二次被害が拡大してしまい、建物の全面的な建て替えが必要になっている。

ここから先は立場を超えて、「誰もがともに生きられる社会づくり」に共感してくださる人々のご協力を得る必要があるだろうと思う。単なる「施設の建て替え」ではなく、「先駆的となる地域のモデル」をこれからも存続させていくために。

どんどんシステム化されて理念を見失っていくこの国の福祉にとって、お手本となるトップランナーが深く傷つくのはあまりにつらい。どうか寄付を通じての応援をよろしくお願いします。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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