泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

薄暗い未来

もし小泉進次郎がフリードマンの資本主義と自由を読んだら

もし小泉進次郎がフリードマンの資本主義と自由を読んだら

 財政や金融に関することの大部分をきちんと理解できていないが、読後感の悪さはすごい。左派への悪意を感じる人物の描き方と、「英断」としての公的年金廃止。医療も介護も保育もすべて国庫補助廃止。それをしたらどんなことが起こるかについての描写はなく、あくまで「痛みをおそれずに思い切った決断をする政治」の側を描くだけ。
 総務相は元大阪府知事の「本橋」。解散総選挙後の第二次内閣で「近畿圏担当相」となり、首相からの提案で近畿圏を特区にして、フリードマンの政策を忠実に実行しようとする、ところで話は終わる。大阪の現状を見ると、これを読んだ府民はますます国政を巻き込んだリバタリアニズムへの欲望を膨らますのではないかとさえ思える。「もし大阪府民が『もしフリ』を読んだら」のシミュレーションは、本書の内容以上におそろしい。世の中のほとんどの人々は自分と同様に経済政策のことなどほとんど理解できないだろうし、対案も想像つかないだろう。
 こんな文章を書いておいて言うのもなんだけれど、大阪であんまり売れないことを祈る。