泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

参院選マニフェスト比較2010(障害者分野)

 各党のマニフェストが出揃い、それぞれ障害者福祉について言及した部分がある。自分としてはそんなに興味がもてない、というのが正直なところだけれど、投票の参考にしたい人もいるだろうから、載せておこう。ひやかし程度にコメントはつけておく。いつものことだけれど、どこを支持しているわけでもないので、誤解のないように。

民主党

障害者自立支援法」を廃止した上で、応能負担を基本とする包括的な障がい者福祉の法律を制定します。

現状では、これ以上の書きようがないだろう。勝手にあれこれ書いたら、総合福祉部会との整合性が問題になるだろうし。ただ、最近の新法をめぐる具体的なプロセスについては触れず、たったこれだけしか書かなかったことに、苦しさも垣間見える。

自民党

62 障害者の方への施策の推進
改正障害者自立支援法により応能負担による福祉サービス・就労支援を推進します。併せて、障害の範囲や障害程度の適正な判断を行えるよう見直します。相談支援体制の強化、障害児支援の充実、グループホーム・ケアホームを利用する際の助成制度の創設等を推進し、また、障害者の所得保障を図るため、障害基礎年金を充実します。

障害者の雇用の確保のために、国や自治体などが、障害者の就労支援施設への仕事の発注や製品等の購入を優先的に行う「ハート購入法」、虐待を受けた障害者の保護のための措置、養護者の負担軽減等の施策を行う「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」の早期成立を図ります。

障害の有無にかかわらず、国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」を実現するために、障害者権利条約の締結に必要な国内法の整備等を含め、「障害者基本法」を改正し、障害のある人の自立と社会参加のための施策を着実に推進します。

野党になると積極的だねえ。

公明党

「障がい福祉ゴールドビジョン」(仮称)を策定
●障がい福祉サービス基盤の緊急整備(グループホーム・ケアホームの緊急整備、新体系への移行支援の強化等)や現在の障がい福祉サービス従事者等の処遇改善(従事者の処遇改善に取り組む事業者への資金の交付等)、地域相談支援体制の強化(相談支援専門員や提供体制の拡充)などを盛り込んだ「障がい福祉ゴールドビジョン」(仮称)を策定します。

施設サービスの質の向上と必要な整備の推進
障がい者施設の持つ、障がい者の地域における自立した生活を支援する拠点としての機能、福祉人材の養成の拠点としての機能、強度行動障がいなど処遇困難な場合の高度な支援の拠点としての機能を確保するため、質の向上と充実を図ります。

「障害者権利条約」の早期批准と「障害者基本法」の改正、「障害者差別禁止法」の制定
●「障害者権利条約」の早期批准を図り、その理念に沿った「障害者基本法」の改正を行います。また、障がいを理由とした差別のない社会をめざす観点から「障害者差別禁止法」を制定します。

「障害者虐待防止法」の早期制定
障がい者の人権を著しく侵害し、その自立や社会参加を大きく損ねる障がい者虐待を無くすため「障害者虐待防止法」を早期に制定します。

障がい児支援の充実
●各地域に「子ども発達センター」(仮称)を創設し、福祉と教育の連携のもとで、就学前から就学後にわたり、発達支援、放課後支援、家族の相談支援など子どものライフステージに応じた継続的な支援を行う体制を整備します。

自閉症・発達障がい児・者支援の充実
自閉症・発達障がい児・者に対して、関係機関の連携のもと、早期発見と相談体制の構築、早期からの支援の充実、障がいの特性を踏まえた適切な教育体制の整備、青年期における就労支援の提供など一貫した支援体制の確立とその充実を図ります。

アニマルセラピー(動物介在療法)の研究・普及の推進
障がい者等の生活の自立や療養に有用なドッグセラピーやホースセラピー(乗馬療法)、イルカセラピーなどのアニマルセラピー(動物介在療法)の研究や普及の推進を図ります。

「障害者権利条約」に則った「障害者雇用促進法」の改正
●「障害者権利条約」の精神を踏まえ、雇用分野における障がいに基づく差別を禁止するとともに、差別事案に関する紛争処理手続きを整備するために「障害者雇用促進法」の改正を行います。また、障がい者に対して円滑に合理的配慮を提供できるよう企業に対する支援を充実します。

「障害者就業・生活支援センター」を「全障害保健福祉圏域」に設置
●「福祉から就労へ」の理念に基づき、福祉や教育から一般雇用への移行を促進するため、障がい者の就業面および生活面における支援を一体的に行う「障害者就業・生活支援センター」の「全障害保健福祉圏域」(約360圏域)への設置をめざします。

障がい者の住宅確保を支援
障がい者が安心して暮らせるための住宅を確保し、ヘルパーなどが必要なサービスを提供できるようにします。また、障がい者と親が一緒に暮らすための住宅(アパート・マンション等)を整備し、必要なサービスを提供します。

精神障がい者の雇用および職場定着の促進
うつ病その他の精神障がい者に対する企業内のカウンセリング体制等の雇用環境の整備を促進するとともに、休業者に対するリワーク支援を強化することにより精神障がい者の雇用および職場定着を図ります。

発達障がい者の雇用促進
●発達障がい者のライフステージに応じた一貫した支援を可能とするため、成人期の就労支援として、ハローワークや「地域障害者職業センター」における専門的支援の強化、雇用管理上の課題の把握や事業主支援等を通じ、発達障がい者の雇用の促進と安定を図ります。

所得保障の充実
●「障害基礎年金」の引き上げ、グループホームやケアホームなどに入居する障がい者に対する住宅手当制度の創設、就労支援の拡大、工賃の引き上げなど、障がい者の所得保障の充実を図ります。

公共機関のバリアフリーの促進と支援策の充実
●新バリアフリー法に則り、公共機関のバリアフリーを促進します。また、バリアフリー化への各種支援策を充実します。

障がい者のための情報バリアフリー化の推進
●公共放送などの字幕化の普及推進や、活字文書読み上げ装置、音声コードの普及など、障がい者のための情報バリアフリー化を推進します。また、選挙公報ねんきん定期便等の全文の点字化・音声コード化を進めます。

精神障がい者障がい者割引の適用拡大
●精神障がい者も、JR・高速道路等交通機関障がい者割引の対象に加えます。

発達障害に最も多く触れている。他党には見られない提案が多くて、個性的。なぜアニマルセラピー・・・?

社民党

○民主・社民・国新の3党連立政権は、首相を本部長とする「障がい者制度改革推進本部」を内閣府に設置しました。そのもとにある「障がい者制度改革推進会議」は、障がい者制度全般の見直しを積極的に行い、6月7日に第1次意見書を取りまとめました。25人の委員のうち半数以上が障がい者や家族で、当事者を主体としたこれまで政府にはなかったスタイルで運営されています。また、本年1月7日、3党連立政権は、障がい者自立支援法違憲訴訟原告団弁護団と国との基本合意を成立させ訴訟は終結しました。現在、基本合意にもとづく検証会議が開かれています。
○「障がい者制度改革推進会議」、基本合意にもとづく検証会議の提言を反映して、基本的な生活、働く場に応益負担を課す「障害者自立支援法」を廃止し、新たに、総合的な障がい者福祉法をつくります。
○本年度予算で、障がい福祉サービスの利用料と補装具の購入等について、所得の低い方(市町村民税非課税世帯)は無料化にしました。この措置を、障害者自立支援法を廃止し新法を整備されるまで継続します。また、収入認定は、世帯単位の収入ではなく、障害児者本人だけで認定するしくみに改めます。自立支援医療についても減免を行います。
○介護支援が必要であるにもかかわらず、制度の谷間に置かれている、難病者・慢性疾患者等について、居宅介護が利用できる制度をつくり、総合的な障がい者福祉法の制定につなぎます。
○国際的な水準による「障がいの定義」を確立します。「国連障がい者の権利条約」にもとづいて障がい者の所得保障、働く場や生活の場など基幹的な社会資源の拡充、就労支援策の強化などを行います。
○「国連障がい者の権利条約」の批准と国内法の整備をすすめます。「障がい者基本法」の改正とともに、実効性ある「障がい者差別禁止法」、「障がい者虐待防止法」を制定します。
○障がいを持つ人が「参加しやすい選挙」は、お年寄りや体の不自由な人などすべての国民にとって「参加しやすい選挙」です。選挙のバリアフリー化、ユニバーサル化を推進します。
地上デジタル放送への移行に際しては、「視覚障がい者にも使えるリモコンを」、「障がい者にもチューナーを」という要求への対応を強化します。
障がい者が放送を通じて情報を入手するうえで必要な手段である字幕放送ならびに手話放送の増加を求めます。
○移動困難な障がい者が住み慣れた地域の中で自立し、社会参加の機会を増やすには、公共交通を整備することが第一ですが、運転免許の取得がネックとなっていることも否定できません。障がい者の運転免許取得を支援するためのバリアフリー化をすすめます。教習所や各種の講習、免許行政窓口で、手話通訳、文字通訳、字幕などの情報保障の整備をすすめます。指定教習所において手動・足動運転補助装置を普及させます。交通の安全と障がい者等の社会参加が両立するよう、障がい者団体を含め、広く各界の意見を聴取しつつ、運転免許の適性試験・検査についても科学技術の進歩、社会環境の変化等に応じて見直しを行います。障がい者の運転免許取得を支援するため、取得費用に対する助成制度をつくります。
○著作者の音訳を制限する著作権法を改正するとともに、「EYEマーク」運動をすすめます。

最初のほうは政策というより現況の説明。あとは、新法を意識しながら、新法制定を待たないポイントについても少しだけ触れている感じ。

共産党

障害者自立支援法をきっぱり廃止し、医療・福祉の無料化をすすめ、障害者総合福祉法を制定します。

きっぱり。「応能」なんて言わない。無料化。

国民新党

3.改正障害者自立支援法の一層の充実
障害者自立支援法」の「応益負担」の原則、実態に合わない障害者の等級区分や施設からの地域移行等の仕組みは、障害者自身のみならず、福祉サービスの担い手にとっても大変重い負担を強いるものでした。
今回の法改正により応能負担の原則が明示され、発達障害者がサービスの対象に加えられた事、またグループホーム、ケアホームへの助成制度が加わった事や家族支援が強化された事などは非常に有意義であったと考えられます。国民新党は今後の改正法案の施行状況を丁寧に確認しつつ、応能負担の更なる徹底、サービス範囲の拡充を図ってゆきます。

改正法案が廃案になるのを見越せずにフライングしたようだ。それぐらいに通りそうな状況だったんだね。

たちあがれ日本

・障害者が自らの力を発揮できる社会とするために、障害者の利便性を高め、負担を少なくする方向へ障害者自立基本法を改正します。

「障害者自立基本法」にもはや笑うしかない。公にしてしまったし、今さら訂正もできないか。絶対に興味ないのがバレバレ。

ちなみに、みんなの党新党改革マニフェストは、全く障害者福祉に触れていませんでした。新党改革の党首って、与党時代に何大臣でしたっけねえ。