泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

やはりゼロだった

 おととい書いた記事に少しブックマークがついたので、他地域のこととはいえ、府知事選挙と市長選挙における「維新」のマニフェストを確認してみた。
 その結果、「障害児・障害者」についての言及は、
府知事選挙マニフェスト:ゼロ
市長選挙マニフェスト:ゼロ
 であった。まあ、腹は立つがこのぐらいは予想どおりである。対立候補のものと比較するエネルギーはないので、今さらでも気持ちのある方がいれば誰かやってほしい。
 ただ、より重大に思えることとして、府知事選挙のマニフェストのほうにはそもそも「福祉」への言及自体が一行もなかった。さらに「子どもの笑顔」をマニフェストの表紙の一番に書きながら、「子ども」について触れているのは例の「教育改革」のみで、他の部分には「子ども」の3文字すら一度も登場なかった。率直に言って、びっくりした。
 市長選マニフェストのほうは「市民サービス」の中に「子育て支援」や「福祉」があり、その内容はと言うと、

(1)子育て支援
保育所、幼稚園を民営化し、待機児童の解消、サービス充実を実現します。
保育ママ制度を拡充します。
3 中学校卒業までの通院入医療費を無償化し、所得制限は撤廃します。
4 妊婦健診や予防接種の内容を充実させます。
5 区役所や保育・学校等における児童虐待防止体制を強化します。
6 子育て世代への市営住宅入居枠を拡大します。
7 市内各ブロックに 子供相談センターを設置し、児童虐待防止体制を強化します。

(4)福祉
1 高齢者の介護老人保健施設等増を図り、充実させます。
2 高齢者向けの敬老パス制度を維持し、さらに私鉄交通、バスでも利用きる制度に改 善します 。他方で、敬老パス対象外の市民から制度の理解も得られるよう利用実態に応じた上限額の設定等、制度改善策も行います。
3 生活保護の不正受給を徹底的に排除するとも真に必要な困窮者を救済します。

 どうってことなかった。いかにも多数派のための、大衆受けのいい子育て支援と福祉。世間で話題になりやすいのは待機児童であり、虐待対策であり、高齢者施設不足であり、生活保護の不正受給である。これらへの対応の必要性を「間違っている」という人は左右を問わず、いない。
 ひとつだけ書いておくと、「民営化→効率化・サービス充実」という図式がいかに的外れであるのかを痛感しているのは、自分たちが支援しているような子どもたちとその家族である。民営の保育所・幼稚園は平気で障害児を排除する。入園拒否や退園の勧奨もざらにある。それが民営化そのものに付随する問題じゃない、というのは簡単だが、少なくとも民営化の負の側面に何らかの手当てが必要だと考えている様子は見えない。「反公務員」としての民営化推進。
 「二重行政が解消されたらお金が浮くから、そのお金を有効に使ったらいいんです。福祉でも教育でもいいじゃないですか」と新市長がテレビで発言しているのを以前に見たが、この中身でどこに使うつもりなのだろうか。「真に必要な困窮者」に使っていただけるのだろうか。
 それにしても、大阪の福祉関係者や子育て支援関係者は現下の状況を「危険」だと思っていたとしても、もはや表立って批判できないんじゃないかと危惧する。少しでも批判しようものなら、支持者も含めて何十倍もの反批判をぶつけられそうだ。自分は大阪府民ではないし匿名でもあるから、のびのびと書いているが、もし府内・市内の事業者の長であったなら、どうだろうか。何よりおそろしいのは、そのような「改革に水をさすな」的ムードであるのかもしれない。