泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

研究プロセスからも発達は学べる

社会脳の発達

社会脳の発達

 社会的な行動に関する脳科学研究の先端を伝えてくれる本。
 脳科学系の本にはいつも感じることだけれど、紹介される数多くの研究の意図と結果をしっかり理解しながら読み進めるのはけっこう骨が折れる。研究途上のことが多く、明確に断言されていることは少ない。現場で活かせるような方法が提示されているわけでもない。
 それでも、多くの実験において、どんな要因が存在する可能性を踏まえてどのような統制を行うのか、という過程を知ることは、読者にとって発達についての多角的な視点を得ることにもつながっていくのだろうと思う。統制するというのは、それもまた影響を及ぼしている可能性がある、ということなのだから。自閉症児のさまざまな行動の背景にあると想像できるものの幅が広げられたほうが、支援方法を試行錯誤しやすい。
 自閉症児の支援をする以上、発達心理学をもっと真面目に勉強すべきとも思わされる。それが脳科学を経由して、であるというのはなんだか不思議だ。