泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

[日誌]某保育所のこと

 よく働いた一日。少しだけ充実感がある。
 しかし、この地域の公設民営の保育所の話を聞いて頭に来ている。
 開所はおととしぐらいだったろうか。もともと保護者たちからはかなり評判が悪かった保育所のようなのだが、自分のところに話が届いたのは障害児の保育に関する部分である。園長が園児の保護者たちに自閉症児のことを説明するのに「凶暴性がある」と言っている。そして、落ち着かない子どもがいると「あんたは障害の子か」と言い、子どもを部屋に閉じ込めて鍵をかける。すべて間接的に聞いた話に過ぎないが、虐待といっても差し支えなかろう。子どもと保護者の苦しみは想像を絶する。
 関係者はすでに司法にもアプローチしているそうなので、いずれ鉄槌が下るのではないかと思うが、園長のクビが飛んでも、周囲の子どもたちに心に刻まれた歪んだ障害観は容易に払拭されないかもしれない。その保育所で過ごした子どもたちが卒業して、小学校へと通う。その小学校には障害児学級もあり、敷地内の学童保育所には養護学校の子どもも通う。
 自分たちの仕事は、障害をもつ人々の支援を経由して、地域社会の障害理解を変えていくことを含む。最も効果的に障害の理解を進めていく第一歩は、障害をもつ人といっしょに過ごす時間をもつことだと思っているが、それだけでは逆に偏見ばかりが加速する可能性だってある。障害をもつ人々の行動の意味は周囲にとってわかりにくい。そのわかりにくさをどう周囲に受け止めてもらえるか、は周囲の理解ある人々の努力にかかっている。
 自閉症について6つや7つの子に厳密な説明をしたって、十分には伝わらない。それでも優秀な保育者や教育者は、障害をもつ子どもを支えようとする子どもを育てていくことができる。障害をもつ子と過ごす時間を楽しむことのできる子どもを育てていくことができる。
 折りしも、grouchさんのところでは、保育者への自閉症教育についての話。
http://d.hatena.ne.jp/grouch_k/20060125/p2
 どうか未来の保育者たちにしっかりと正しい知識を伝えてやってください。