泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

読了

いのちの食べかた (よりみちパン!セ)

いのちの食べかた (よりみちパン!セ)

 タイトルや帯*1からはすぐに想像しにくいかもしれないが、我々に身近な「肉食」の話題から部落差別について考えていくことを通じて「知ること」「想像力をはたらかせること」の大切さを解説した好著だと思う。子どもにもわかる平易な言葉で書かれており、ほとんどの漢字には振り仮名つき。ただ、実際のところ中高生などが読んでどのくらい影響を受けるのだろう。今となっては、子どものころに自分自身や周囲の感受性がどんなものだったか思い出せない。せいいっぱい思い出すと、「常識」とされているものを疑う姿勢を自分らしさの核としている者と、全く疑う気もない者の両方がいたような気がする。圧倒的に多数派である後者にどうアプローチするかを考えるのは、大人たちの責任だろう(もちろん多くの大人たち自身が無知だったり、想像力が欠如していたりするわけだが)。そのために自分たちには何ができるか。たとえ若いボランティアをたくさん巻き込んでも、それだけで自明の前提を疑う姿勢につながりはしない。これはいつも悩む。

*1:「世界には数え切れない『誰か』がいて、だから、ぼくたちの生活は続いている。」