泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

また調査票が送られてきた

 朝から支援学校の見学説明会へ。幼児さんの保護者数名に同行。
 支援学校の教員というのは、仕事の中で「わかりやすくする」ことを日々求められているはずなのに、なぜ保護者向けの説明がこれほどまでに資料の棒読みで、聞き手の知識水準に対する配慮もなく、眠気を誘うものになってしまうのだろうか。管理職固有の問題なのだろうか。保護者向けに配布されたアンケートにひとこと書いてやろうかと思った(思いとどまったが)。
 事務所に戻ると、何やら調査票が届いている。
 数日前にも「障害福祉サービス等経営実態調査」のことを書いたけれど、今度は「障害福祉サービス提供実態調査」である。経営実態調査の「補完的な調査」なのだと、厚生労働省による添付文書付き。
 今度は三菱総合研究所への委託。対象は無作為抽出で10000か所程度。今度はA4用紙たったの1枚。
 調査項目は、
東日本大震災による影響の有無(有るか無いか、のみ)
・経営主体(法人の別)
・実施しているサービス種別
・実利用者数
・うち、医療的ケアを必要とする者の数
・サービス提供時間帯別延べ訪問回数
・通常の事業の実施地域以外でのサービス提供実績
発達障害者の利用実績(実績の有無、人数、専門職の配置)
高次脳機能障害者の利用実績(実績の有無、人数)
 この程度の内容ならば委託なんかしなくても、自治体を通じて調査票を配布回収して、経営実態調査といっしょに分析すればいいと思うのだけれど、これはやはり三菱総合研究所に金を払って頼まねばならない事情があるのだろうか。調査用紙が黄色であることに贅沢を感じてしまう自分の貧しさが悲しい。
 さて、そんな推測や愚痴はともかく、一部に首をかしげたくなる設問が。
 まず「サービス提供時間帯別延べ訪問回数」は、早朝、午前、午後、夜間、深夜の内訳を書かされる。
 行動援護は8時間まであるのに、どうやって答えるんだこんなもの。調査用紙は「行動援護」用らしいのだけれど、居宅介護の用紙の使い回し? 行動援護がみんな2時間から4時間ぐらいで終わっているとでも思っているのだろうか。なんの注釈もなく、記入不能。
 そして、「発達障害者の利用」について。実績の有無と実人数。
 注釈が調査票上に書かれている。「発達障害者とは、手帳の有無にかかわらず、自閉症アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害として、医師の確定診断を受けている者をいいます」。
 発達障害自立支援法の中に含んでいくことを踏まえての質問であるのは間違いない。ただ、何を意図しているのだろうか。行動援護の利用者は、その支給要件からして、おそらくほとんどが「知的障害」かつ「発達障害」でもある。ただ年齢が上がってくると、医師の診断が「知的障害」のみで「発達障害」としてはついていないことが多くなるだろう。今さら、そんなことを確認したいのだろうか。
 今後の制度設計に活かせるようなデータをとりたいならば、「知的障害」としては療育手帳を取得するのが難しいぐらいだけれど、発達障害ではある、という利用者が現時点でどのぐらいいるのか、これからどのぐらい増えそうなのか、を把握しようとすべきなのでは。
 また返送するのか…、めんどくさい。