泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

何もない地域で

 昨日はここから少し離れた地域の親の会で小さな小さな講演会。人口数千人であるのに加え、親の会の組織化も進んでいないので相手はたった10人ほど。企画をしてくれた保護者にはいろいろと思惑があるようで、近隣の事業所の相談員やその地域の福祉課長、窓口担当者も来ていた。
 法人のこの3年半ほどの歩みと「自立支援法との共存」について話す。地元でないからのびのびと話せる部分もある。遅れの目立つ地域で、利用者がこれからどんなふうに動いていくべきか。行政職員との付き合い方とか、事業所との付き合い方とか話した。運営や金の話を利用者の前でするのはずっと自分にとってのタブーになっていたが、それも思い切って話した。たかが金の話、されど金の話だと。自立支援法の制度体系について説明をだらだらと続けるよりはずっとよかったと思う。
 これから多くのものを生み出していかなければならない地域である。新しいことをはじめようとする熱心な保護者が周囲から支持されるもされないもその動き方次第、という現実をこれまでにたくさん見てきた。この経験が活かされてほしいと思う。親に努力するように言うのは嫌いである。本当は親ではなく、支援者に出てきてほしい。しかし、この地域では今のところ期待できる者が見つかっていない。生活が苦しいが支援者がいないと嘆く人々に、どのように前向きに話すことができるだろうか。とても難しい。
 ちなみに地域生活支援事業については、昨日の時点でまだ決まっていない地域だった。近隣と足並みをそろえようとして、やはり苦労しているらしい。どんなに小さな地域でも実施しなければいけないメニューは同じ数だけある。担当者まかせにせず、建設的な制度の提案をできる人材が誰かほしいところであるが、現状ではなかなか難しそうだ。何せ自治体内には障害者分野の事業所ゼロである。本当にきつい。
 一方、わが地元はと言えば、介護給付や訓練等給付に加えて地域生活支援事業の利用申請書が昨日行政から郵送され、今日多くの利用者宅に到着した。しかし、今日行政に様式を見せてもらったところ、大変に書き方がわかりにくい。ほっておけば混乱必至であることが予想できたので、傷口が広がる前に利用者宅に次々と電話。書き方を説明させてもらった。制度の細部まではっきりしたところで、みんなに集まってもらい説明会をする予定だったのに、申請書が送られてしまい、しかも提出期限がなんと今週金曜日である。もはやどうしようもなかった。制度設計をした行政の本音と建前まで踏まえる必要があり、職員ふたりで説明に悩む。
 電話したが留守だった保護者から、つい先ほど23時30分になって問い合わせの連絡。あれやこれやと1時間ほどの長話。こんなばたばたする時期もあと少し、のはず。