泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

一息ついて

 数日のどたばたが少し落ち着いた。
 昨日のスタッフ研修は、まあまあの出来だった。前半を講義、後半をワークショップ形式にしてみた。参加者は8名と少なめ。記録の目的に関する基本的な事項を講義形式で説明した上で、ダダ母著『レイルマン2』の一部を読んで、「これをガイドヘルプの記録にするとしたら、どの部分を残し(+補足し)、どの部分を削らなければいけないか」を議論して、最後にポイントをまとめていく。はっきり言って「思いつき」でやってみたワークショップだったけれど、形にはなった。1時間程度の議論でも、養護学校の先生などが入ってくれたおかげで、とりわけヘルパーの「主観」の描写についてどう考えるか、について考えを深められたと思う。これから出されてくるヘルパー記録を楽しみにしておく。
 ただ同時にガイドヘルプの記録の難しさというのもたくさん見えた。結局、何を書くか、というのは実践そのものの目標設定とその評価に関わってくるものなので、目標設定自体があいまいな実践の記録は書きにくい。ガイドヘルプには単純に「楽しく外出するのを安全にサポートする」というだけで終わるものも多い(自虐的にもなるが、それを「ストレス発散」と呼ぶと「聞こえ」がよくなる)。するとその記録の内容は、時系列的に出来事を並べ、注意をひいた点を細かく描写する程度で終わってしまう。中には発達保障の観点を重視して、中長期的に達成目標を設定することもあるけれど、それがすべてでもない。すると、どうしても記録のための記録になりやすい(複数名のヘルパーが関与しているところについては、また話が変わってくるけれども)。
 そうは言っても、記録を書くことでヘルパーとしての行動を反省させられることは多いわけで、記録の価値というのは、いささかも揺らぐことがないのだけれど。おかげで、今日のガイドヘルプは気持ちが引き締まっていた。やはり研修って大事。
 そして、今朝は近くの高校でミニ講演&ボランティア募集。これで4年連続。うちが子どもの長期休暇中に制度外でやっている事業が、障害をもつ子ども及びボランティアにとってどんな意味を持っているのかを整理して、わずか30分で話してくる。そして、活動参加を呼びかけ。
 昨年と一昨年は受講生が100名以上いた。選択科目ではあるが活動が単位になるような仕組みなので、ものすごい勢いで参加申し込みが来る。昨年は3日で締め切った。今年は講演に行ってみると、受講生が半分ぐらいしかいない。不思議に思って事情を聞くと、高校側が態度の悪い受講生への対応や活動場所の確保に困ったらしく、受講生を抽選で減らしたらしい(本当に気持ちのある生徒でも抽選に漏れてしまった可能性があるということ・・・)。週明けからの受付開始に対して、はたして何人ぐらいが申し込んでくるか。なにせ高校生なので、昼休みに次々電話がかかってくると予想される。おちおち昼食をとっていられない。
 他の活動場所がたくさんあれば、もっとうまく人数が分散するのだろうけれど、高校が準備した活動場所の選択肢はうちの他に1箇所のみ。ボランティアの受け入れ体制が整っているところが多くないため、こうなるのか。学校がうまく活動場所を見つけられていないから、こうなるのか。いずれにせよ、関心のある若者がたくさんいるのに、もったいないことをしている。ボランティアコーディネーションの必要性はずっと叫ばれているが、多くの福祉現場にその意識が根付いてきたようには見えないし、ほとんどの現場はそれどころじゃないだろう。多くの社協福祉施設のコーディネーション能力を叩くのはきっと簡単だけれど、それだけでは何も解決しない。法定施設・法定機関ゆえに抱える歴史的・構造的な問題もたくさんある。
 ・・・と温かい目で見ていこうと思っていたところに、地元社協から郵送物。ボランティアセンターに相談窓口を設置するので、運営委員に持ち回りで窓口担当してほしいという内容(これまでのボランティアセンターというのは相談窓口ではなかったのか。ボランティアコーディネーターは窓口担当者のことを指すのではないのか。全く意味不明)。事前に何の連絡もなしにそれだけ送ってきて、ご丁寧にもシフト表に窓口に入れる日時を記入しろと言う。運営委員にもそれぞれの立場というものがあるのだよ、社協のボランティアコーディネーターさん。運営委員には自治体の福祉課課長や作業所の所長なども入っているのだけれど、その人たちにもやってもらうつもりなのか。そして、ボランティアグループの代表なども含めて、ボランティアコーディネーションの勉強を体系的に受けたことがない人にボランティアのコーディネーションができると本気で思っているのか。人に任せる前に、あんたがまず勉強しなさい。
 高校の先生と「最近の学生の生活スタイル」について話した内容も面白かったけれど、またいずれ書く。