読了
- 作者: 三島亜紀子
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2007/11/29
- メディア: 単行本
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社会福祉研究者ならば多くの人が知っているであろう「社会福祉の学問と専門職」というすさまじい修士論文(http://www.arsvi.com/1990/990300ma.htm)をベースにしつつ、近年のネオリベラリズムやEBSWの隆盛などを踏まえて、大きく加筆されている。
言わば、社会福祉(学)の社会学的研究。社会福祉学の理論や方法がいかなる歴史的・政治的な文脈の中で受容され棄却されてきたのか。「反省的学問理論」と称するポストモダン思想の影響を受けた理論が、専門職の権威を正当化する理論と共存している現況を、福祉政策の変容を含む「管理社会化」への抵抗を試みつつも抜け出せない閉塞性と重ね合わせながら論じる終盤は、いま支持されているソーシャルワーク理論を社会の中に位置づけなおして、理論の政治的な機能をあぶりだす作業として、大変に貴重なものであると思う。日本の社会福祉学と優生学の関係なども、よく知らなかったので興味深く読んだ。
日本における「社会福祉学」の成立と展開は、英米と少し異なるように思われる点もあるし、「科学性」という言葉の用い方にも少し荒っぽさが見えたりするが、それはこの本の目的と成果から考えれば、些細なことだろう。一種の「暴露」ではあるので、社会福祉学者の中にはいい顔をしない人もたくさんいるだろうけれど、今後の研究がいっそう楽しみになった。
自分もがんばらなければ。