泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

利用計画狂想曲

 関係者向けの内容になるが、わが地元自治体は児童のサービス利用計画がまったく進んでいない。
 計画相談の指定を受けている唯一の事業所が「大人の相談で目一杯なので児童の計画は作成できない」というのだから、当然である。実質的に児童の相談支援事業所がゼロという悲惨な事態。行政は、代替プランのことなど一切触れることなく、しれっとセルフプランを推奨してくる。様式を行政が決めないので、自分が作った様式がなんとなく地域のスタンダードになった。
 この「セルフプランを立てて役場に出してね」という案内が出されたのが2月半ばである。この2月半ばの案内ではじめて利用者は「さーびすりようけいかく」というものを立てねばならないことを公式に知らされたことになる。3年前からはじまっている仕組みを。
 ついでに言うと、受給者証の更新時期が4月以降のところには、その案内さえ送られておらず、国のおっしゃる「3月末までに全員作成」は確実に不可能であるのだが、いったいどうするつもりであろうか。行政に「届いてないところがあるけど、利用計画は出さなきゃいけないんだよね?」と聞くと「そうだ」と言う。「やらなきゃいけないが、まあすぐにやらなくても大丈夫だろう」というムード。「相談支援事業所が作らないから、こんなことになってるんだもんね」「lessorのところの法人が相談支援の指定とらないからいけないんだもんね」という丸投げ。
 うちの療育の利用者さんたちについては、すべてのセルフプランを自分が作った。セルフプランを事業所が作るというのは全くどうかしているが、誰もやらないのだからどうしようもない。某政令指定都市でも「事業所がセルフプラン作れ」と行政が言っているらしく、自分が講師となった管理責任者研修でも利用計画を前提にした事例検討ができない。
 作ってみた感想としては、個別支援計画の劣化版みたいになる印象。本来は全く機能が異なるものだが、ニーズと暮らしによっては大差がなくなる。幼児については保育所幼稚園などについてかなり踏み込んだプランを立てないと、個別支援計画とどんどん重なる。時間のムダ。
 一方、相談支援が動いている近隣自治体ではさっそく「囲い込み」が起きていて、良心的な支援者や学校教員はそれに気づきつつある。報酬の高い事業に利用者を誘導。面倒な利用者は他法人の事業所を紹介。学齢児の頃から卒後に受け入れたい子どもを品定め。まさに想像通りの展開。大法人がますます有利になり、零細法人がますます追い込まれる制度設計は、社会福祉法人の大規模化を進める流れとも一致している。
 他自治体にある相談支援が自法人の営業目当てで地元に乗り出してくる可能性もあるわけで、ほっておけばますます事態は複雑になる。また悩まねばならないことが増えた。