泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

「個別判断」はこれまでだってされてきた、が

 非関係者にはわかりにくい記事だと思ったので、解説。
障害児の就学先、個別判断に=教育ニーズなど考慮−文科省
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201308%2F2013082100800&g=soc
 「教育委員会(就学指導委員会)として、この子は支援学校に行くべきだと思うけれど、保護者の希望に応じて特別に普通学校に通うことを認めよう」という制度が存在しており、それを「認定就学」と呼ぶ。その「認定就学」の制度を改め、「どの学校に行くのがよいかを保護者と教育委員会(就学指導委員会)で個別に判断した」という形にしよう、ということになった。9月1日から開始。
 「個別に判断」ってどういう意味?と聞かれれば、「これまでも個別に判断はしていた」が答え。これまで「集合的に判断していた」わけではない(できるはずがない)し、どこに就学するのが望ましいかを協議検討する方法自体には変化がない。
 ただ、教育委員会が「支援学校に行け」と言うのに「いや、普通学校に行きます」という選択をすると、それは「認定就学」と呼ばれることになり、しばしば普通学校に必要な支援を求めたとき「『認定就学』なのに、そんな無理を言われても」と言って拒否されやすい条件を作ってしまっていたわけだ。
「今回の改正によって普通学校への就学が大幅に増えることはないだろう」はたぶん当たっている。教育委員会と保護者の攻防は今年度も変わらずにあるだろう。ただ「認定就学」のラベルを盾にされて悔しい思いをする親子は減るかもしれない。そういうニュース。
 ちなみに就学先の判断に関わるのは市町村の教育委員会。支援学校を管轄するのは多くが都道府県の教育委員会。ひとたび支援学校に行ってしまえば、地元の教育委員会にとっては「存在しないも同然」の子どもとなっていくことは、もっと知られてよい、と思う。