泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

比例区候補者の仕事ぶりを確認してみた(障害者分野)

 さて、もう選挙前日であり、明日は仕事なので期日前投票も済ませてしまったのだけれど、やっぱり選挙区と比べて、比例全国区はとても悩ましいと思った。特に「無党派層」にとっては。個人名を書こうと思った場合、いったい誰が何をしているのか、さっぱりわからない。選挙公報を読んでもよくわからない。
 自分の立場からすれば、もし比例区のほうで個人名を書くならば、障害者支援と何かしら結びつきがある人に票を投じられれば、と思うところである。もっと各候補者が得意分野をわかりやすくアピールして、それがどこかにまとめて掲載されていればいいのに。ネット選挙解禁の良さがまだわからない。
 そんなわけで、今回の参院選比例全国区の立候補者のうち、これまで国会議員として活動経験のある人たちが国会の中でどのぐらい「障害者」に関連して仕事をしてくれているのかを探ってみることにした(新人さんたちの関心事はあまりにも調べる手がかりがないので)。しかし、厚生労働委員会などの内容を個人別にすべて確認してくのは、べらぼうに時間がかかる。
 仕方がないので国会での「質問主意書」のタイトルで調べてみた。「質問主意書」とは要するに、内閣に対して「この問題について、いったいどういう見解か、はっきりしろ」と回答を求めるものである(Wikipediaによる「質問主意書」の説明は→こちら)。調べ方にはもっと良い方法があったのかもしれないが、「国会議員白書」のサイトから一人ずつ確認した。
 そうしたら、与野党合わせても、過去に「障害」関連の質問主意書を出している議員はたった5人しかいなかった。件数としては9件。以下、簡単にコメントもつけておくので、明日投票する方は、どうぞご参考に。もちろん質問主意書だけで、議員活動のすべてがわかるわけではないということにはご留意ください。主意書は全文がリンク先で読めます。

衛藤晟一自民党 1件
障害者政策委員会に関する質問主意書(平成二十四年六月二十六日)  
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/180/syuh/s180163.htm

「障害者政策委員会」のメンバー構成や内容そして公平性・中立性の確保についての質問。民主党政権になって「当事者(本人)」中心の人選が強く進められたことに対して「重症児の親や自治体行政はメンバーに含めなくていいの?」とか「その委員会でどこからどこまでの内容を決めるつもりなの?」ということ。

神本美恵子(民主党 1件
障害者権利条約の批准に関する質問主意書(平成二十一年三月九日)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/171/syuh/s171079.htm

障害者権利条約と国内法、特に障害児教育に関する法律の間にあるズレについて見解を問う内容。「日本の特別支援教育って個人モデル的で権利条約の考え方と合わないよね」「子どもへの『合理的配慮』って、これからどんなふうに教育現場に導入していくの?」「支援学校と普通級の間で障害児への教育予算のかけ方が違いすぎるんじゃない?」など。

山本香苗(公明党 3件
発達障害やその他文字を認識することに困難のある児童生徒のためのマルチメディアデイジー教科書に関する質問主意書(平成二十一年十二月三日)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/173/syuh/s173100.htm

性同一性障害のある児童生徒に対する対応に関する質問主意書(平成二十二年十一月十二日)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/176/syuh/s176102.htm

障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律の運用に関する質問主意書(平成二十三年二月十六日)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/177/syuh/s177069.htm

山本博司(公明党 3件
障がい者在宅就業支援に関する質問主意書(平成二十二年十一月十日)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/176/syuh/s176089.htm

児童デイサービスと通所による指定施設支援との併給等に関する質問主意書(平成二十二年十一月二十六日)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/176/syuh/s176124.htm

障害基礎年金の認定基準の改正に関する質問主意書(平成二十三年二月八日)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/177/syuh/s177050.htm

公明党は以前から障害基礎年金の増額やマルチメディア教科書の普及を公約にしているので、ちゃんとその通りに動いていることがわかる内容(少しびっくりした)。「発達障害について、年金の認定基準を考えるべきではないか?」も。児童デイサービスと指定施設支援の併給は、議員が出したとは思えないマニアック(だが、現場にとっては大事)なテーマ。

小池晃共産党 1件
障害児の放課後活動の保障に関する質問主意書(平成二十年六月十六日)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/169/syuh/s169167.htm

平成20年なので、当時の放課後支援の混沌っぷりがよく伝わる内容。放課後こども教室や学童保育など一般的な子ども施策の中での受け入れや、障害者自立支援法によって大きく変わってしまった障害児施策の現況について、見解を問うている。