泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

無理だよ

 朝から夜まで人の話をずっと聞きっぱなしの一日。くたくた。一日にたくさんの人と入れ替わり立ち代わり話をすると、ものすごく消耗する。
 それらの合間に子育てひろばと役所へ。役所では、4月以降のサービス利用に向けて利用者が行うべき手続きについてたずねるも、まだ何も用意できていないという返事。利用を申請する際に利用者に提出してもらう書式さえまだ作成されていない。
 関係者以外わからない話になるが、4月から新規に障害福祉サービスを使う人は相談支援の事業者と契約をして、利用計画を立ててから、サービスの支給決定を受け、ようやく利用契約に至るということになっているはずである(すでにサービスを使っているところについては、少し猶予がある)。ところが、現時点でこの地域には指定を受けた相談支援事業者自体が存在していない状況。
 これから事業者による申請を受けて、自治体が相談支援事業者の指定をした後に、4月からサービスの利用を希望する人が相談支援事業者と契約をして、アセスメントと利用計画の立案をしてもらい、それを受けて自治体がサービスの支給決定を打つ。そして、その支給決定を受けて、サービス提供をする事業者と利用契約(さらに個別支援計画の立案)。このプロセスをあと3週間ちょっと。対象となる子どもだけは数十名に及ぶ。こんなことできるはずがない。
 地方自治体がどうのこうのというよりも、国からはっきりしたことが示されるのがあまりに遅く(いま示されているものでさえ実はほとんどが、ほぼ確定であろうという「案」でしかない)、自治体も事業者も十分に資料を読み込めていない部分もある。となりまちの療育事業者なんて年明けには保健師等も含めて利用児童の選考をして、1月のうちに4月からの利用が決まっている。今さら利用計画も何もあったものではない。手続きのための手続きにしかならない。
 こうした変化に対して、行政から住民への説明がなされたわけでもない。支援費でも自立支援法でも説明パンフレットぐらいは事前に出てきた。しかし、今回の「改正」についてはまだ何もない。厚生労働省から地方自治体や事業者向けに出された説明資料だけだ。利用者に向けていったい誰がどのようにこの仕組みを説明するのか。現時点で、子どもの家族は何も知らない。うちは来週、利用者向け説明会をすることになっているが、そこで必要な行政手続きとして何を説明したらいいか、と自治体に聞いても、「まだ何もできていない」と苦笑いされる惨状。
 4月から新規の利用者については、各地でこれらの手続きを3月中に完了できると厚生労働省は本当に本当に本当に本気で考えているのだろうか。もし本気なのだとしたら、それは自治体内での「柔軟な運用」というたくさんの無茶を前提にしているとしか思えない。