抽象という文化
- 作者: 戸田山和久,出口康夫
- 出版社/メーカー: 世界思想社
- 発売日: 2011/05/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 4人 クリック: 1,005回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
有用性と抽象性とは、お互い異質ではあるが人間の文化に固有の傾向性であり、自閉症児は後者を強調するのである。(中略)対人関係を廃した抽象性、人間の存在を捨象した抽象性は、逆説的ながら強い意味で人間的かつ文化的な現象であり、その理念値である。自閉症児の並べ遊びは知的な遅れではなく、逆に文化を構成する要素の一つを極端に強調した現象である(表現しにくいが、文化的であるが文化を捨象している)。定型発達にも数学や多くの自然科学への嗜好という形で刻み込まれている傾向性である。