「障害」理解か「その子」理解か
イラスト版自閉症のともだちを理解する本―いっしょに学ぶなかよし応援団
- 作者: 原仁,高橋あつ子
- 出版社/メーカー: 合同出版
- 発売日: 2010/09/01
- メディア: 単行本
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知的障害が軽度の子の姿から重度の子に必要な支援が見えてきたりする、というのは、日々の実感としてもあること。それはそれで複雑なものやわかりにくいものを捨象して、障害をシンプルに捉えたい欲望と背中合わせであるのだろう。でもモデル的な理解が全く前提にないままで支援するというのもつらい話。
ところで、「ともだちを理解する」という文脈でこうした本が実際に使われているのだとしたら、そのような事例を具体的に知りたい。「みんないっしょに」「統合」を推進する動きが共生社会の実現を、単純な「自然な関わりの中での理解」に賭けようとするならば、自分は明るい見通しを描けない。その限界点の見極めはきっと必要。私とあなたの何が同じで、何が違うと前提してよいのか、を判断する力は、どこまで自然に醸成できるか。子どもにそれはどこまで可能か。
「○○くんはこういう特徴のある子」という説明は、何らかのカテゴリーを用いないままで、どのぐらい子ども間の納得に寄与するのか。見方を変えれば「障害だから」という説明で納得できる子どもはいるのかどうか。