泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

子どもの居場所市場

 限りなく独占状態に近い形でこの地域の障害児支援を続けてきていたが、新入生は他自治体にある事業所に流れようとしている。
 ガイドヘルプだけでは生活を支えきれないから居場所づくりをはじめようと民家を借り、集団が苦手な子でも安心して過ごせるようにと少ない定員設定をして、その代わりに利用者には運営協力金の支払いをお願いして4ヶ月。衝撃的なほどに、利用が伸びない。みんな「子どもを預ってくれる場所がない」と言っていたにもかかわらず。運営協力金の額は、支援費制度の時代なら公務員の家庭がガイドヘルプの利用時に払っていたぐらいの金額(1時間で「ワンコイン強」ぐらい)。上限設定もあったし、児童の家庭から当時「高い」と言われることはなかった。
 自立支援法になり、「応益負担けしからん」の大合唱が巻き起こる中で、この地域のガイドヘルプの利用者負担額は1時間で80数円ぐらいになった(加算のない場合)。一時預かり系の支援(日中一時支援)は1時間50円。誰も利用を躊躇することのない金額になった。低所得の場合はさらに減免。
 そんな中で、独自の料金設定の支援は「高い」とあっさり他法人事業所の利用へと向かう。たとえ遠くても、安くて、決して利用を断られないのがいいのである。安全さえ確保されれば、それで十分なのである。支援者がどれだけ勉強していようが、良い居室環境を整えようが、制度外の支援まで無理してやっていようが、関係ない。自分の生活が大事なのであって、事業所を育てようとか支えようとか思うことなんてない。1時間に払えるのは200円ぐらいまでが妥当だと。そうじゃなきゃパートで稼ぐ意味がないと。卒園して就学したら帰ってくる時間が早くなるから毎日夕方見てもらいたいのだと。それを大喜びで受ける「安い」事業所。
 子どもの声は聞かれない。切ない。