泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

広域化の弊害

 よその事業所であったことをどうのこうの言うのは勝手すぎるのかもしれないが、うちの利用児童でもあるわけなので、言わずにおれない。
 事業所の中で子どもに将来まで影響の及ぶようなケガをさせておいて、わびる言葉もなく、たった一度の連絡すらないままに1ヶ月以上もほったらせるというのは、どういう神経なのか。その後、どんな治療が必要になっているのかとか、治療費にどのくらいかかるのかとか、なぜ気にならない。いったいなんのために保険に入って、契約時に説明しているのか。放っておけば、どうしていいかわからず泣き寝入りするとでも思っているのか。
 さらに「保険会社に『謝ってはいけない』といわれているから、謝らない」と被害者に話すというのは、保険会社も事業所もそろって何を考えているのか。自動車事故みたいに互いの過失割合が問われる話じゃないだろう。サービス利用中に施設内で起きた転落事故なのだから(しかも支援者が誰も見ていないところで)、10:0で事業所が悪いのだよ。謝らないほうが有利だなんて、どうして思えるのか。
 さらに、都道府県の運営適正化委員会が「保険会社が出てくると、委員会としても対処しにくい」などと言って及び腰になるのはどういうことなのか。こういう当事者間でどうにもならないトラブルのときに解決するための機関じゃないのか? このまま事業所が一言も謝らないままに保険会社がそこそこの対応をして終わり、でいいのか。
 彼は二度と利用はしないだろうが、そんな事業所でも利用が減ることは決してない。資源不足の中で、開設直後から利用はどんどん増えている。こんなことで利用者集団からの信頼が壊れることはないと信じているだろう。実際、この自治体住民の中でその事業所を使っているのは彼だけだから、他地域の保護者まで話を届けない限り、何も影響しない。地元の相談支援事業所もいっしょに怒ってくれているが、問題の事業所とは福祉圏域が違うから、相談支援事業所から利用者へのサービス紹介にもほとんど影響しない。多くの利用者を確保しようとして、事業所のサービス提供地域が広がり、行政的なエリア区分の単位を超えてしまうと、こういうことが起きる。
 さらに、日中一時支援事業は市町村事業であり、都道府県による監査(実地指導)の対象にもなっていないから(全国で見れば、行なわれているところがあるかもしれないが、少なくともこのあたりでは行なわれていない)、外部から苦情対応についてチェックされることも全く無い。この事故がさまざまな意味での「隙間」に生じたものであることを見事に利用されてしまっている。
 「株式会社はうさんくさい」というのは偏見に違いないが、この自治体内ではきっとそういう印象が強まるだろう。売り込み度抜群のロゴ入りスタッフジャンパーも、カラー印刷の綺麗なパンフレットも、子どもが喜ぶ高価なゲーム機も、全く信用など保証しない。