泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

隣の自治体の話

 日中一時支援事業というのがある。うんと平たく言ってしまえば、障害児者の一時預かり。
 市町村事業なので、事業所に支払われる報酬単価設定とか、利用者の負担割合とかは自治体で決めていい。実際、地域によってかなりのばらつきが出ている。国からの補助金額は決まっているので、あまり高く設定すると、金のない自治体は苦しい。自立支援法の批判されるポイントのひとつでもある。
 自立支援法の開始時にきちんとした計算を誰もしなかったために、このあたりの自治体の単価設定は昨年度までとてつもなく低い金額になっていた。支援をすればするほど赤字が膨らむという異常事態で、事業所からも非難轟々。もともと地元自治体は単価の改定に積極的だったのだが、近隣の複数の市町村で単価は統一することで合意されてしまっている。隣の自治体が金を出したがらない結果、長らく膠着状態が続いていた。それでも、サービス提供に消極的になる事業所が増えて、わざわざ遠方の事業所を使う利用者が増えたこともあって、この4月、ついに関係市町村の合意のもとで単価が少し上がった。
 単価があがるということは、利用者負担額も上がるということである。そして、利用者が1割負担なら、行政は9割負担だ。利用者が5%負担なら、行政は95%負担。ちなみに、地元の自治体は5%負担で、隣の自治体は10%。
 ところが、隣の自治体。どうも議会で「単価を上げるのはよいが、利用者負担を上げるのはまかりならん」と言われたらしく、1時間あたりの自己負担額をそのままにした。報酬単価はあがっているので、利用者負担割合は10→7%に低下した。すると、行政の負担割合は、93%になるはず。
 しかし、90%→93%になるのを嫌うこの自治体は、なんと90%はそのままにすると言って、実際そのとおりの制度が動いているのだそうな。行政が90%負担。利用者が7%負担。残りの3%はどこが負担? 事業所? サービス提供して、3%負担して、自分で受け取っている?
 この場合、行政の負担分+利用者負担分を総費用額として考えるべき、ということになるのだろう。ただ、そうしたとき、いわゆる利用者負担の割合というのは、7.21649484536082・・・%(割り切れず)。なんだ、その負担率は。負担額を割合で決めなければいけないということはないから、ルール違反ということにはならないだろうけれど、こんなにも自由でよいものか。