泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

連携の「制度化」

 養護学校というところは、近年ただ学校内での生徒のことだけ考えていればいいというわけではなくなってきているので、学内に「地域」との連携を担当する部門というのができている(名称は学校によって異なる)。そこの新しい担当者から連絡があり、話を聞かせてほしいと言う。学校教員は夕方のわずかな時間にしか会いたがらない。3時までは生徒がいるから会えない。5時半過ぎたら、帰る。福祉系の事業所にとっては一番あわただしい時間を空けなければいけないが、養護学校との連携は重要なことであるので仕方ない。予定を空けて、待っていたわけである。
 昨年までとは担当者が変わっているので、いくらか改めて説明をしなければいけない覚悟はしていたのである。しかし、そんなレベルではなかった。
 名刺交換すると、他に何を聞かれるでもなく、1枚の紙が前に出される。「事業所○○利用生徒」というような一覧表。自分の知っている生徒名がずらり。学年やクラスも書かれているが、昨年度のまま。そして、「そちらを利用されている子どもがこのリスト以外にもいるか、あるいはこの中で既に利用していない子どもがいるか」を聞いてきた。
 担当として自らの業務の説明さえせずに、一方的に確認事項から話がはじまることもどうかと思うし、その質問の中身も「そんなこと学校から各生徒の保護者に確認とったらわかることなんじゃないのか?(学校は、全生徒の個別教育支援計画を立てているんだから、今年度も各担任が確認するんじゃないのか?)」「だいたい、その確認にどんな意味があるのか?」と思わされるものなので、この時点でも少し苛立ち始めたのだが、ここからがさらにひどい。
 こちらから質問。「事業所の利用者というが、利用者っていうのは、どこからどこまでのことか」「ボランティアで長期休暇や週末などに支援している部分は含むのか、含まないのか」「学童や自立支援法のサービスを使っている子どもに限っているのか」。相手の答え。「この表を持っていって、利用している子どもを確認してこいと言われただけなので・・・」。
 本当にぶっとばしてやろうかと思った。これが20代そこそこの若手教員ならば、まだ長い目で見てやろうかと我慢できるが、相手はもう40代後半かひょっとしたら50代である。大ベテランである。それが、要するに「上から言われたことを聞きにきただけなので、それ以上のことは私では判断できません」と言うのである。さらに聞いていくと、うちが事業として何をやっているところなのかも全くわかっていない。福祉サービスの制度体系についても何も知らない。この人が昨年担任していた子どももサービス使っていたのに、そのサービスの制度的な位置づけについてさえわかっていない。これまで養護学校に渡してきた法人についての資料、地域資源についての資料等は全く目も通されていない。説明すると「そうなんですか?」とか、何度も悪びれもせずに言う。
 学校内の同じ部門には10人の教員がいるらしいので、他の教員がもう少し自分の頭で何が必要かを考えて仕事をしていることを祈る。子どもの生活をトータルに把握した上で、学校としてすべきことを考えたいというような発言は全く聞かれなかった。空しい。