泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

 またひとり「辞めたい」ともらしていると情報。働き始めてまだ数ヶ月。子育て支援センターにいた経験もあるぐらいだから、力量のある人である。それでも、雇用の中途半端さと子どもの大変さに耐え切れない。いっしょにシフトに入っていた者が辞めて、連鎖的に。もっと楽に稼げる仕事を目にしてしまい、紹介までされてしまったのもまずかった。慰留できるかどうかはわからない。この子の担当が辞めるのは、1年半で4人目。その他にも、仕事をはじめる前に子どもと会っただけで辞めた人がいた。それだけ難しい支援だが、時給は1000円にも遠く及ばない。放課後の子どもの支援だから、夕方2時間か3時間ぐらい。たいした稼ぎにもならない。心理的な負担を軽減しつつ技術も身につけてもらうために、半分ぐらいは自分がいっしょに現場に入り、子どもの障害特性とか対応とか丁寧に伝えてきたが、いつもそれができるわけではないし、どうしていいのかわからない事態はしばしば起きる。それに耐えられない。子どもの行動の意味が次第にわかるようになれば、きっと支援の面白さも出てくるはずなのだが、そこに至るまで堪えられない。
 ちなみに先日から自分を落ち込ませている多くの出来事は、ほとんどすべてが「学童」がらみ。法人内の他部門は全く円滑に平和にまわっている。障害をもつ子ばかりを一ヶ所に集めて、自分たちの雇用しているスタッフばかりで仕事をしていたらどれほど楽だろうか。明日から週明けにかけて各所で行われる数回の話し合い次第では、さらに2人辞めるおそれがある。もしそうなれば、この5年間にやってきたことは、ほとんど振り出しに戻るに等しい。少なくとも「支援者を育てる」ということに関しては。ものすごい頻度で担当課に足を運んできたから、自治体の職員は育った。学童の指導員の中にも育ってくれた人はいる。彼ら彼女らは長い目で見れば、地域の資源となるだろう。しかし、自分の法人スタッフが辞めてしまうことは何よりつらい。
 仕事の意欲も、本や論文を読む意欲もわかない。こんな心境で明後日に講演。ネガティブな話しかできないんじゃないだろうか。