泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

[ニュース]救済策が出た

 少し書くのが遅くなったが、自立支援法に救済策が出たという話。

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小規模作業所に関する今後の対応について
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               平成18年11月30日
               自由民主党
               障害者の小規模作業所を支援する議員連盟

 障害者自立支援法の施行に伴い、小規模作業所の今後のあり方について、平成18年10月31日から当議員連盟において関係3団体からの意見聴取等を踏まえ、鋭意協議を重ねた結果、下記の対応が必要であるとの結論を得たので報告する。

1.小規模作業所の多くは、当面、地域生活支援事業における「地域活動支援センター」への移行を目指すことから、関係予算の大幅な拡充を図り、その移行に必要な当該事業の予算額の確保を図ること。
2.小規模作業所から地域活動支援センターへの移行を目指すも、規模要件等を満たすことができず、小規模作業所から地域活動支援センターへ移行することが困難な事業所については、平成18年度に限り5人以上の規模であっても、地域生活支援事業の補助対象とする措置を行っているが、この措置を法定内事業と同様5年間の継続措置とすること。
3.地域生活支援事業の利用料については、個別給付の1割負担や給食費の自己負担化により負担が増加している状況にあることから、地域活動支援センターに係る利用料を求めるにあたっては、従来の利用者負担の状況や個別給付における状況等を踏まえ、低所得者のサービス利用に支障が生じないよう配慮することについて、市町村に周知徹底すること。
4.小規模多機能型の事業や就労継続支援B型事業の要件の緩和について、個別給付への移行状況を踏まえつつ、必要な検討を行うこと。
5.小規模作業所が、地域活動支援センターや個別給付事業へ早期に円滑移行が図られるよう必要な支援策を充実すること。

以上
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障害者自立支援法の円滑な運営のための改善策について
  (中間まとめ)
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                   平成18年11月30日
                   自由民主党政務調査会
                  社会保障制度調査会
                   障害者福祉委員会

 障害者自立支援法は、地域移行の推進や就労支援の強化など、障害者が地域で普通に暮らせる社会を構築することを目指し、本年10月に本格施行された。しかしながら、1割負担の導入や事業者への報酬の日払い化など、これまでにない抜本的な見直し事項に対して、法の施行後もさまざまな意見が存在する。
 当委員会においては、先月の発足以来、こうしたさまざまな意見に真摯に耳を傾け議論してきたところである。改善策の検討に当たっては、自立支援法の枠内で、かつその趣旨に沿ったものとすること、施行直後であることに鑑み報酬単価の変更は行わないこと、を基本的な考え方とした。この方針の下、今般、以下の3つの柱からなるもう一段の改善策を講じるべきとの結論に達した。
① 利用者負担の更なる軽減
② 事業者に対する激変緩和措置
③ 新たなサービスへの移行等のための緊急的な経過措置
 政府に対し、この中間まとめを踏まえ、具体的な改善策を講じるよう求めるものである。
 また今後とも、必要な改善策を不断に講じていくとの姿勢に立って、現場の実態について十分注視していくべきである。
1.利用者負担の軽減
① 利用者負担については「工賃より利用者負担が大きいのはおかしい」などの指摘があるほか、社会福祉法人軽減の適用が少ないなど、負担感の大きい通所・在宅について、経過的に負担上限額を引き下げるとともに(社会福祉法人軽減による2分の1軽減を4分の1へ)、軽減対象を課税世帯に広げる。
 その際、軽減の対象を社会福祉法人利用者のみならずNPO法人等の利用者に広げる。併せて、軽減を行った事業者の持ち出しを解消することとする。
② 工賃引上げに対するインセンティブを更に高めるため、入所施設において工賃が28.8万円(これを超えた部分の3割を含む)まで確実に残るよう、従来の工賃控除を復活し遡及して適用する。
③ なお、入所施設においては、手元金として2.5万円以上が残るよう食費等に係る補足給付が行われているが、この水準や個別減免の資産要件(350万円)が適当であるか否か、及び負担増が急激に過ぎないか等について、施設と在宅とのバランスにも留意しつつ検証し、必要な対応を図る。
2.事業者に対する激変緩和措置
① 通所施設においては、報酬の日割り化により、即時の対応に苦慮し減収が発生している状況もみられることから、旧体系サービスに係る従前報酬の80%保障について、経過的に90%を目途として保障機能を強化する。
 また併せて、旧体系サービスから新体系サービスに移行した場合について同様の保障を設ける。
 さらに、日割り化に伴う問題については、施行状況を注視しつつ、引き続き検討する。
② 利用者が利用しやすくなるよう、通所について送迎加算を設ける。
③ 入所施設の利用者が入院した場合に算定される報酬について要件を緩和するとともに、ケアホームにおいて重度者が必要なサービスを受けられるよう経過的なホームヘルプサービス利用の取扱いについて検討する。
3.新たなサービスへの移行等のための緊急的な経過措置
○ 法の施行に伴う緊急必要な需要に対応するため、以下の事業を行うための基盤整備等事業交付金(仮称)を都道府県及び市町村に交付する。
 ・新たなサービスに直ちに移行できない小規模作業所等に対し、これまでの対策(1か所当たり110万円の補助)を踏まえた支援
 ・グループホームなどの立ち上げ支援
 ・視覚障害者等に対する移動支援の充実 等
 なお、昨今の極端な物価上昇による事業への影響についても、同交付金により措置する。
4.障害程度区分
○ 障害程度区分については、知的障害、精神障害を中心に、身体障害も含め、各々の障害特性を反映した区分が出るよう、コンピュータ判定のあり方を含む抜本的な見直しを行う。
5.その他
① サービス体系の見直しに向けた検討
 ・施設入所者については、5年間は入所を継続することができることとされているが、5年の経過後も、入所者が施設を追い出されることがないようにする。
 ・新体系サービスのあり方については、このような基本方針を前提にしつつ、3年後の見直しに向けた検討に早急に着手すべきである。
② 所得の確保
 法の附則等を踏まえ、所得の確保について検討すべきである。その際、まずは地域移行を進めるという本法の趣旨を踏まえ、地域生活に必要な工賃水準が実現されるよう取組を強化すべきである。
 また、安定的な仕事を確保するため、発注者への取組も強化すべきである。
③ 「住まいの場」の確保
 身体障害者のためのグループホーム・ケアホームに関する検討やケアホームにおける重度者への体制確保に関する検討を含め、障害者の「住まいの場」の確保に取り組むべきである。
④ その他
 ・福祉、医療、雇用、教育の連携を一層図るべきである。特に、福祉施策としての就労支援については、障害者雇用及び能力開発との連携を深めることにより、利用者が必要とするサービスをより適切に選択できるようにすべきである。
 ・法の理念や制度の内容について、分かりやすく周知・広報すべきである。
 ・重度障害者に対して適切に配慮するため、ホームヘルプ事業の国庫負担基準の趣旨について再度周知を徹底するとともに、重度障害者へのサービスの確保等を図る。

 その関連情報。

[朝日新聞 2006年12月02日・朝刊]
■障害者支援に1200億円:負担増を軽減/与党合意■
 障害者自立支援法の施行で福祉サービスが原則1割の利用者負担になり、障害者の利用控えなどが起きている問題で、自民、公明両党は1日、負担軽減などのため、08年度までの3年間で1200億円の予算措置を政府に求めることで合意した。このうち960億円は今年度補正予算に計上し、通所施設などサービス事業者を支援する基金を創設。減収となった事業者などへの支援にあてる。
 今回の対策は、今年4月の障害者自立支援法施行から3年後に同法が見直されるまでの経過措置。補正予算に計上しない残りの240億円は07、08年度の当初予算への計上を求める。
 創設される基金を活用し、事業者への支援策として、前年度収入の8割を保障している現行の措置を9割保障に引き上げる。障害者に雇用の場を提供している小規模作業所に対しては、05年度に廃止した補助金も一時的に復活させる。1作業所あたり110万円を軸に調整する。
 このほか、利用者の負担軽減策も拡充。現行制度では、社会福祉法人が提供する通所・在宅サービスを利用すれば、利用者が負担しなければならない額の上限が通常の半分になるが、この上限を4分の1に引き下げる。対象も社会福祉法人に限らず、NPOや民間会社などのサービスを利用した場合にも広げる。
 同法の施行以降、障害者団体から「収入が少なく、生活が圧迫される」と負担軽減を求める声が相次ぎ、対応策を検討していた。

[共同通信 2006年12月01日 17時49分]
■3年で1200億円計上へ:障害者負担4分の1に軽減■
 政府、与党は1日、4月の障害者自立支援法の施行で福祉サービスの利用料が原則1割となった障害者の負担軽減などのため、2006−08年度の3年間で総額1200億円を予算計上することで合意した。
 利用者の負担軽減として07、08両年度の当初予算案に計240億円を盛り込み、収入が落ち込むなどした障害者施設を支援する基金創設のため、本年度補正予算案に960億円を計上する。
 通所サービスとホームヘルプ、20歳未満の施設入所について、利用者の1カ月の負担上限額を市町村民税が非課税世帯は規定の4分の1に下げる。これにより上限額は収入によって6150円、3750円の2段階となる。
 さらに課税世帯についても比較的低所得層に限って、現行の4分の1の9300円とする。
 障害者施設への支援措置としては、通所サービス施設への報酬加算や、前年度の収入の8割保障の引き上げなどを行う見込みだが、具体的内容は今後詰める。
 今回の負担軽減策は、自立支援法の施行で負担増となった障害者や収入が減った事業者などからの不満が相次ぎ、これを受け政府、与党で協議を続けていた。

 1年で400億。なんとも不思議な大盤振る舞い。「さまざまな減免があるから大丈夫」と言っていたのは「間違いだった」と認めようとしているのか。あるいは「間違いじゃない」と思いつつも、これだけ「負担が大きい」という声が報道されると、たとえそれが「金を払いたくない障害当事者のわがまま」でも放っておいては政府与党のイメージが悪くなりすぎると思い、舌打ちをしながら金を工面しようとしているのか。こんな末端で仕事をしている者には全然見えない。