泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

[近況]慰留

 ヘルパーが辞めると言い出した。2ヵ月後を目処にしたいと今日先ほど言われた。
 おそらく彼女がいなくなると、ホームヘルプは全く機能しない。精一杯に慰留したが、今後どうなるかはわからない。辞めたいというよりは、「もっと仕事がしたい」ということ。言い分を額面どおりに受け取れば、働きやすさについては高く評価してもらえている一方で、自分の力が発揮できる場がないし、今後もできそうな見込みがないということだろう。稼ぎにこだわる人ではないから、ただ純粋にホームヘルプが好きなのである。
 うちのホームヘルプの実施件数は大変に少ない。はじめたら、もっと利用が伸びるだろうと思っていた。しかし、ガイドヘルプの利用がうなぎのぼりに増える一方で、ホームヘルプはまったく伸びてこなかった。身体障害の方など利用が1件もなく、ガイドヘルプ同様にホームヘルプも夕方に集中している。おそらく身体障害の方へのサービスは社協あたりの独占状態。自立生活をしようとする人の存在も聞いたことがない。このあたりの地域差はかなりあるのではないかと思う。
 そうは言っても潜在的なニーズはきっとあるのだろうから、それを掘り起こせなかった自分の至らなさには情けなくなる。先ほどからひたすら自分を責めている。それでも、どうしたらよかったのかと考えると、それもよくわからない。
 彼女はほぼ毎日ホームヘルプをしているが、1日1件程度である。仕事がしたい者には不満に思われても仕方がない。ただ、入っているのはどれも難ケースばかり。うちの事業所がこの1年ほどの間にやってきたホームヘルプは、関係機関が5つや6つで済まない複雑な事例に限られていた。その意味では小さい法人ながらも胸を張れるし、質的にはすごくやりがいのある支援ができていると思っていた。
 高齢者介護のほうにでもいけば、人材難の昨今、優秀な彼女はたくさんの仕事にありつけるだろう。しかし、障害者福祉では中途半端な雇用にしか出会えない。こうして人材が高齢者介護へと流れていく。田舎で、障害者分野で、ホームヘルパーを仕事として成り立たせることのできる条件は何だろうか。ユニバーサルな支援を標榜して、介護保険にでも参入するほかないのだろうか。
 この地域には彼女がいなくなると困る人や組織が他にも複数ある。そんなことではシステムとして失格とわかっているが、有能な人材が貴重なのは当然のこと。簡単にはあきらめられない。これからしばらくは頭を下げ続ける。それでダメだったときのことは、まだ考えられない。