泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

その後

 先日の日記で思い切り感情的に書き散らした結果、これまでに無かったくらい多くの人がここを訪れたようで、少し驚いている。これまでに熟考して書いたものもたくさんあったのに。社会福祉を専門にして文献をたくさん精読して真面目に論文書いても、こんなに多くの人には読んでもらえることはまずありえない。少し複雑な思いでは、ある。
 トラックバックを下さったid:sugitasyunsukeさん、id:x0000000000さん、おふたりらしい励ましをいただいたように思います。ありがとうございました。コメントくださったBarさんもありがとうございました。ハンドルネームをきちんと覚えていないのですが、遠い地で自分と少し似た仕事をするあなたでしょうか。
 先日の日記の怒りの原因は具体的には書けないのだが、行政が現行の制度をいっそう安上がりな制度に変えて、いっそううちの法人を追い詰めようとしていることに対するものだった。所詮は金の問題に過ぎないのに制度改変の大義名分をひとつでも増やそうと、現場を一度も見に来たことさえない担当者から過去の実践を否定されるようなことまで言われ、時間が経つにつれて、沸々と怒りが湧いてきた。現実の対行政交渉の際に怒ることはあまりよい結果を生んだことがないので(少なくとも、この地域では、だけれど)その場では感情ををぐっと抑え込んだものの、もはや屈辱的でさえある。
 運動については、ほとんど進展がない。そのことにもイライラしている。もう9月になろうとしているのに、地域生活支援事業についてはまだ何も決まっていない。この近隣の自治体もすべてそうである。全自治体が周囲の出方をうかがっている。一方、最寄の政令指定都市ではこれまでの国事業とほぼ同水準・同内容で事業内容が確定したという話が伝わってきた。その場合に懸案となる事務処理についても、ソフトを独自に作るのだそうな。金があるところは何でもできる。
 行政もひどいが、事業所の動きもひどい。あまりに鈍い。今頃になって、ばたばたしているが、こうした問題は昨年度からわかっていたことなのだから、もっと準備もできたはずだ。自治体に対して、きちんとしたデータを突きつけて深刻に受け止めてもらおうとする姿勢が見えない。先月から三度集まった事業所の連絡会には大きな社会福祉法人がいくつも入っているのに、話し合いになると出てくるのはただの愚痴ばかりである。
 以前に自分の作った都道府県向けの報酬単価案レポートは連絡会内で現場の実感に近いと高い評価をいただき、なぜか各市町村に対する交渉にも使われつつある。制度開始を間近に控えたこの時期にここまでの理想的な内容提案は無茶だと自分は主張したが、他の事業所は「このぐらいが妥当だ」と言って譲ってくれなかった。偉い人は関係市町村の担当課と議会議長宛にレポートを提出する意向だが、その際も偉い人が書いた簡単な鏡文が1枚つけられるだけのようである。議長宛に需給調整が大変だから云々と書いたこの内容は無謀である。伝わるとは思えない。この仕事をはじめて数年でしかない自分だが、長年仕事をしてきた人たちの運動の方法論を疑う。ところが、連絡会内では他に誰ひとりとして戦略をもっていない。先日の課長会議資料すら、自分以外にはひとりしか読んでいない。偉い人も読んでいない。連絡会の参加者からは制度の基本的なところさえわかっていない発言まで聞かれる。
 現状には否定的であるのに、制度を自分たちで作っていくための方法論がない。これがきっとこの地域の知的障害者地域生活支援の運動をめぐる現状なのだろうと思う。すでに決まったことを与えられる(押し付けられる)か、過去のものをただ継続するか、にずっと慣れてきた。中には運動経験豊かでもっと力を発揮できるはずの人もいるのだが、自立支援法は問題が多すぎて、偉い人ともなると特定の事業の問題ばかりにはかまっていられない。大法人ならば、通所施設だってグループホームだって一千万単位の減収となりボロボロである。それならば現場のリアリティをよく知る者が他にも法人内にいるはずなのだが、金勘定や運動については何の意見もなかったりする。
 国はもちろん、都道府県の動きは既に絶望的。春の人事異動の影響で都道府県の障害福祉課は制度を理解しない者ばかりとなり、まだ自分たちで勉強会をしているような状況と聞く。上から何の指示もでない自治体が足並みをそろえようとして、事業所も足並みをそろえようとする。結果として、何も前に進まない。これが地域の特性に応じた実践ができるはずの市町村事業のリアリティである。もう何ヶ月にわたって、不安な気持ちをひきずらされているだろうか。
 サマースクールはのべ250人ほどの学生スタッフのおかげで無事に全日程を終えることができ、それが数少ない「良い話」。本当にみんなよくがんばった。これから自治体にさらに働きかけを続けながら、8月分の請求事務に、10月以降の居宅介護事業所の指定申請。正直な話、指定申請書類は今日はじめて見た。聞けば、まだどこからも書類はあがっていないと言う。本当におそろしい。