泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

[読書]

寺田貴美代(2004)「社会福祉が成立する範疇に関する分析枠組の構築」『福祉社会学研究』,149-168.
 以前ぱらぱらと読んで、それほど関心を持てていなかったが、批判的に読み返そうとしたらけっこうよくできた論文だということに気づいた。どのくらい社会学のトレーニングを体系的に積んだ人かはわからないが(社会学の文献からの引用は荒っぽい)、既存の「社会福祉」定義に向けられた批判を巧妙にかわすことのできる内容になっている。可変的に設定された〈マジョリティ/マイノリティ〉〈社会的手段/個人的手段〉の区別に基づく社会福祉定義は、特に最近の学生などに受け入れられやすそう。「あー、やっぱり私のやっていることも『社会福祉』ということでいいんだ」と。
 しかし、どうも社会福祉研究者との論争を避けようとしているようにも見え、なんだかすっきりしない。