泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

[障害者支援]また地域格差の話

「自立」は可能か?(大阪日日新聞
http://www.nnn.co.jp/dainichi/kikaku/jiritu/index.html
揺らぐ「大阪方式」
http://www.nnn.co.jp/dainichi/kikaku/jiritu/jiritu060314.html

 措置制度下で入所施設を中心に展開された障害者施策が大きく居宅サービスへと舵を切ったのは支援費制度によってだ。大阪では入所施設より居宅サービスが中心の「大阪方式」とも言われる障害者福祉施策が展開されていた。ところが、障害者自立支援法の施行で「大阪方式」が大きな影響を受けようとしている。
 格差6.3倍の裏
 国が新法成立に向けて検討を進めた際、是正されるべき「地域格差」の例として示したデータがある。二〇〇四年十月末現在で調べたホームヘルプサービスの利用者数(都道府県人口に占める利用者の割合)と一人当たりの平均費用額だ。
 利用者数では全国平均が十万人当たり八十四人なのに対し、大阪府は百八十九人で全国トップ。最下位の秋田県(三十人)の六・三倍に当たる。平均費用額でも大阪府は十二万七千百円で全国二位で、最低の岩手県(四万千二百円)の三・一倍だった。大阪の障害者団体などで作る「障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議」の古田朋也事務局長は「厚生労働省はこれを『均一化しなければならない』とし、大阪がさも“ぜいたく”をしているように言う」と批判する。
 大阪では入所施設を増やすのではなく、居宅のまま地域の中で障害者を支える形の福祉が進められてきた。人口十万人当たりの福祉サービス利用者を居宅系と入所施設に分けると、大阪府では居宅系三百十四人に対し、入所施設六十六人。全国平均は居宅系二百七人、入所施設百十一人で、大阪が全国平均に比べて居宅系を重視してきたことが分かる。
 だが、費用額は入所施設の方が高いため、大阪府の人口十万人当たりの合計額六十五万四千円(居宅系四十五万五千円、入所施設十九万九千円)は全国平均(五十五万八千円)を上回るものの全国十七位。ホームヘルパー利用で最下位の秋田県は入所施設が多いため、費用全体では七十六万六千円(居宅系十三万三千円、入所施設六十三万三千円)と逆転する。大阪を上回る道県はいずれも入所施設費用額が居宅系費用額を上回る。

 全国平均が10万人あたり189人で大阪府がトップということだけれど、これさえも府内で大きな差があるのだろう。市町村格差は6倍なんてものではない。おそらく100倍200倍の世界。
 10万人に189人なら決して大きな数字とは思わない。ホームヘルプにはガイドヘルプも含んでいるはずだが、自分の事業所のサービス提供地域はこの大阪府平均を上回っている。
 一方で平均費用額は全く違う。この地域でホームヘルプやガイドヘルプで10万円を超える利用者数はたぶん1割もいない。うちの事業所の利用者ひとりあたりで平均を出せば、2〜3万程度。10万円以上の利用者が1人だけいて、その人が平均を引き上げていても、この数字。この地域には全身性障害の方が非常に少ないことが影響しているように思う。長時間のホームヘルプ利用でなければ、10万円にはなかなか達しない。
 だからどうしたと言われれば、どうというわけでもなく、ただ「地域格差」として表されている数値もまだまだ表層的なものでしかない、ということを今さらながら確認してみただけ。
 なお、記事中で言及されている調査結果は↓
障害福祉サービスの実施状況等について
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/10/s1005-8l.html