泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

[障害者支援]大きなものだけ個別給付

 昨日リンクした社会保障審議会障害者部会の傍聴メモより。堂本知事VS厚生労働省のやりとり。

堂本委員;地方から見て、サービスの資源、地域で非常に違いがある。基本的考えかた基準を示すのはいいが、都道府県、市町村の裁量の余地を認めて頂きたい。日中活動の最低定員20人は無理。過疎などは知事の判断とあるが。過疎、離島でなくても同じ状況がある。松戸市など。可能な限り、枠を決めてしまうのではなく、異なる状況で裁量ができるように。
松嶋課長;今回も地域生活支援事業は地域の実情に応じた工夫でできるようにしている。個別給付は最低限は決めさせて頂いた。理解頂きたい。
伊原企画官;日中活動の地域生活支援センター、10人でも柔軟に運営できるように用意している。全国画一的なものは個別給付で制度化している。それぞれ実情に合った運営をして頂ければと思う。

 続いて育成会松友氏VS厚生労働省

松友委員;個別給付の定員も10人にしてほしい。小規模授産を作っておいて切り落とすのはおかしい。
(中略)
伊原企画官;小規模授産は裁量的補助金で行われてきた。支援法で個別給付をどこに線を引くか検討し、20人を線にした。これはすりかえではなく裁量的補助金のままということ。

 どちらも「なぜ個別給付がこれほど限定的なのか」ということへの問題提起と解してよいと思うのだが、厚生労働省からの回答は誰が聞いても納得できないものだろう。大人数でなければ個別給付にしないという根拠は全く示されない(むろんそれを認めたら金がかかるからに決まっているが、それは口が裂けても言えまい)。どうして地域生活支援事業でしか地域の実情に応じた工夫を認めないのか、どうして小規模授産は裁量的経費のままなのか、ということを問題にしているのに。今日、自治体福祉課に行ったとき「こんな田舎では10人でも多い。5人にすべき」と担当職員が話していたが、全くその通りだ(個人的には3人ぐらいでもいいんじゃないかと思っている)。
 障害者自立支援法にからむ話は、すべてが都市部中心の話ばかり。行動援護の資格要件の話でも同じで、利用者が多く確保できて職員も多く雇用できるからこそ、従業者の資格要件を高く設定されてもやっていける。仮にひとりやふたりのヘルパーが辞めたって、事業所全体で人をやりくりできるだろう。専従が2人や3人程度のところで資格要件の厳しい事業者の指定を受けてしまったら、何があっても職員は入れ替われない。体調を崩して休むことだってできない。
 地域福祉論では小さなエリア単位の支援がもてはやされているのに、政策的にはスケールメリットを活かして安くあげろというメッセージばかり。今日もうんざり。