泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

[障害者支援]仕事の魅力

 Helpertownより数日前の日記(http://d.hatena.ne.jp/lessor/20051119)にトラックバックをいただく。
http://www.helpertown.net/mt/archives/000458.html
 福祉新聞の記事をそのまま転載しただけで、他に何も書かなかったので、少しだけ追記。
 大都市圏での有効求人倍率が上がっている(働きたい人間も増えているが、それ以上に仕事の数が増えている)ことは確かだろうけれど、障害分野についての有効求人倍率のデータはかなり怪しいものと思っている。あくまで福祉人材センターの把握している数字をもとにしたものでしかないし、実感とも違う。もともと福祉人材センターは都市部にあるだろうから、求人についても休職についても情報が偏っている可能性もある。
 知的障害分野の有効求人倍率は0.19倍ということだが、これは仕事が少ないと見るべきか。施設はともかく、居宅支援の事業所ならば、どこだってヘルパーは探しているだろう。楽に需給調整ができているところなんて、きっと無い。ただ、ヘルパーの雇用条件は極端に不安定である。介護保険の事業所のような働き方を期待されるとつらい(介護保険の事業所の内情もそんなに知らないけど)。1日にこなせる件数が限られているから、時給がいくらに設定されていても大した稼ぎにはならないだろう。「週2日2時間ずつの仕事」なんてことになったら、稼ぎたい人は介護保険のほうに行くか、全く別の仕事をする。
 そんな状況で、事業所が需給調整の隙間を埋めるような求人をどこに向けて行うか、というのはなかなか難しい問題である。新聞の折込求人広告などを使っているところも多い。うちなら、これまでは学生頼みだった。ガイドヘルパー募集で求人を公に出すことはしない。新しくはじめたホームヘルプについても福祉人材センターに話を持ち込むことは地理的に考えにくい。
 記事には知的障害分野の求人・求職の推移は書かれていないが、実際どのくらい「他の分野ではなく、知的障害分野で働きたい」と思う人はいるのだろう。
 管理人さんには、

介護の仕事をもっと魅力的なものに感じさせるため、介護福祉系ブロガーのみなさんにお願い。
仕事の愚痴や不満を書くことが悪いとは思いませんが、介護の仕事の魅力や楽しさを伝えることも忘れずに。お願いしますね。

 と書かれてしまっているけれど、「なぜ知的障害分野で働きたいと思うのか」というのは興味深くもある(身体障害や精神障害についても同じことは言える)。普遍的な対人援助への欲求があるとすれば、福祉分野の中でも労働条件のよいほうに行くのが自然だろう。この点について、知的障害分野は明るい展望を持たない。となると、これからすべきことは人々が「あえて」「どうしても」知的障害分野で働きたいと思うための動機づけの喚起ということになろうか。
 いま仕事をしている人に「どうしてこの分野で働きたいと思ったのか」調査をやってみれば、面白いかもしれない。それはきっと求人に役立つ研究になる(セールスポイントを明らかにしてくれる、という意味で)。学生ボランティアで知的障害をもつ人と関わり、その流れで大学卒業後に就職する人は多いだろうけれど、彼ら彼女らも「なぜ知的障害?」と聞かれたら、それぞれに答えを持っているはずだ。また、もっと紆余曲折あって知的障害分野に至った人はどんないきさつがあったのだろう。これを読んでいる人で「自分は知的障害分野で働きたい(働き続けたい)」という人がいたら、「なぜ?」なのか、どうぞコメントください。