泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

定義

アイデンティティの権力―差別を語る主体は成立するか

アイデンティティの権力―差別を語る主体は成立するか

 第一章読了。まるまる「差別」の定義にあてているが、「定義」するというのは、こういうことだ、という見本のような論文。「論文を書くにあたって、最初に定義をしないと書きにくいから定義しなきゃ」と考えて、重要と思われる用語にまつわる先行研究をレビューしているうちに、あまりの多様さにどう定義してよいかわからなくなって泥沼にはまる社会福祉系院生は必読。
 20年ほども前の論文なのに構築主義的だなーと思って読んでいたら、やはり後世になってそのような評価を受けているらしい。すぐれたものが見落とされずに、きちんと評価される業界ってすばらしい。社会福祉研究業界で、院生論集的なものに掲載された修士論文の成果をちゃんと見逃さずに受け止めていくことってできているだろうか。いや、もちろん認めるべき成果がないなら、どうしようもないけど。