泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

上限は変わっていない

障害者自立支援法案:障害者負担、低所得者分を軽減 上限を半額に−−厚労省方針
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/archive/news/2005/07/27/20050727ddm002010078000c.html
 これで当事者団体の反発はいくらか軽減できるのかもしれない。しかし、上限が変わったわけではない。だから「厚生労働省が上限を半額にした」と書くべきではない。上限額は変わってない。あくまで「上限まで払うべき」とした上で、「社会福祉法人がその半額を超えた部分を払ってくれるというなら、そのうち半分は行政から助成しよう」ということであろう。社会福祉法人が負担を嫌がれば、上限まで利用者が支払わなければならない。できるだけ社会福祉法人に協力を頼むというが、低所得者に配慮するというならば、単純に上限負担額の引き下げにしないのはなぜか。すべての社会福祉法人がそうはしないことを見込んでいるからだろう。
 当事者による負担を、事業者による負担にすりかえられれば、それは当事者運動の勝利なのだろうか。まだ関係団体の反応は届いてこないが、事業種別によって差が出てくるような気もする。今後に注目。
 また、利用が伸びているホームヘルプ・ガイドヘルプなどの事業者はNPO法人等も多いから、こうしてしまえば資源のない(というか「社会福祉法人」のない)地域では、この制度を活用できない(一部に「減免する社会福祉法人がない地域は、NPO法人でも同じ対応を認める」という情報もあるが)。一方で、NPO法人等と社会福祉法人が共存している地域ならば、サービス利用者は減免の可能な社会福祉法人に誘導される。
 社会福祉法人以外を含むことに、何か法的な問題でもあるのだろうか。これだけ事業者の参入について規制緩和を進めておきながら、今さら憲法上の公金の支出規定にひっかかるなんていうこともあるまいし。NPO法人は予算規模が小さいから、無理はさせられないという配慮か? そんな配慮を自分たちは求めていない。