2冊読了
- 作者: 本多勝一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2004/10/09
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企業福祉の終焉 - 格差の時代にどう対応すべきか (中公新書)
- 作者: 橘木俊詔
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2005/04/25
- メディア: 新書
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社会福祉に携わる者として思い返せば、介護保険制度が創出された際にも、税方式と保険方式のどちらを選択するかの議論があった。そのとき税方式を支持する理由の多くは「最低限の生活保障は税でまかなわれるべき」という規範的なものだったように思う(一方の社会保険肯定派は「税だと使途が不明確になる」と主張していた)。
筆者は、現行の社会・労働保険制度や企業独自の福利厚生制度が十分に機能していないことを示す根拠を提示した上で、あらゆる福利厚生において税方式を支持するに至っている。社会福祉研究はどうしても「企業」と縁遠い感があるが、企業の負担する福利厚生費こそが重要な福祉財源ともなっているわけで、新鮮な気持ちで読める。
終盤では福祉国家批判への反論として、
とか、
経済のパフォーマンスが悪くなると、福祉がその原因であると批判されやすい。しかし、これを支持する証拠はほとんどない。言い換えれば、福祉はスケープ・ゴートにされやすい。
(177ページ)
とか、経済においては何かと悪者にされやすい「福祉」を弁護してもらっているみたいで、少し心地よかった。
この次の介護保険制度の見直し時には、保険料の徴収年齢引き下げの議論が再燃するはずであるが、なかなか引き下げは容易でなさそうだ、ということもわかる一冊。