泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

読了

 高校ぐらいのときだったか、NHK教育で『絵画を読む』という番組を見ていた(昔のことなので、タイトルなど間違っていたらごめんなさい)。そこで毎週「寓意画」の解説をしていたのが著者の若桑さん。近所の書店で「ジェンダー特集コーナー」みたいなものができており、だいぶ前に購入していた。
 女子学生に課したレポートを交えながら、プリンセスストーリーに隠された意味を読み解いていく、という内容だが、このレポートの質がとても高い(もちろん抜粋だろうけど)。大学生のレポート指導をしたり、専門学校でほんの少し教えた経験からは、学生のレポートにあまりよい印象を持っていなかったのだが、これだけ教員の期待どおりの(さらにはそれを超える)内容が出てきたら、楽しいだろうと思う。また、若桑さんの女子学生を見る目は最初から最後まで温かく、気持ちよく読める。
 これだけのレポートが書けるというのは、やはりテーマが「ジェンダー」だからなんだろうか。自己の体験や将来と密着したテーマには、うらやましさを感じる。障害者福祉の場合は、なかなかそうもいかないので。「他者の問題を、自分の問題として捉える」とか、「自分と相手の立場を入れ替えて考えてみる」というのは想像力のない人間には通用しない。障害をもつ人やその家族の生活を、僕らはどのくらいまで追体験できるのだろう。そして、追体験しなければ、よい支援はできないと考えてよいのだろうか。