読了
お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門 (ちくま新書)
- 作者: 若桑みどり
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2003/06/01
- メディア: 新書
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女子学生に課したレポートを交えながら、プリンセスストーリーに隠された意味を読み解いていく、という内容だが、このレポートの質がとても高い(もちろん抜粋だろうけど)。大学生のレポート指導をしたり、専門学校でほんの少し教えた経験からは、学生のレポートにあまりよい印象を持っていなかったのだが、これだけ教員の期待どおりの(さらにはそれを超える)内容が出てきたら、楽しいだろうと思う。また、若桑さんの女子学生を見る目は最初から最後まで温かく、気持ちよく読める。
これだけのレポートが書けるというのは、やはりテーマが「ジェンダー」だからなんだろうか。自己の体験や将来と密着したテーマには、うらやましさを感じる。障害者福祉の場合は、なかなかそうもいかないので。「他者の問題を、自分の問題として捉える」とか、「自分と相手の立場を入れ替えて考えてみる」というのは想像力のない人間には通用しない。障害をもつ人やその家族の生活を、僕らはどのくらいまで追体験できるのだろう。そして、追体験しなければ、よい支援はできないと考えてよいのだろうか。