泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

人事異動の季節

 非公式ながら、各種機関の人事異動についての情報が続々と入ってくる。昨年と比べ、異動が極端に多い。
 都市部はどうだかわからないが、田舎の行政は職員が一人入れかわるだけで、劇的に制度の運用が変わってくる。異動になるのが、課長でも係長でも、それ以下でも、それぞれに大きな影響が出てくる。全く障害者や福祉になど関心のなかった行政職員が、全く無関係な部課からいきなり福祉関係の部課にまわされてくる。障害者の生活支援について地域格差が拡大しているのは、自治体行政の裁量によるところが大きいわけで、こうした人事はますます格差を大きくすることにもなる。理解しがたい。
 もちろん人が変わることで良い方向に向かうこともありうる。「こいつがいなくなりゃいいのに」と思いながら自治体とやりとりしている人にとっては、異動が朗報ともなることもある。異動のせいで、いい時期が長く続かないのと同様に、悪い時期も長くは続かないかもしれない。しかし、うちが関わっている自治体はここ数年、関係課の職員がみんな熱心だった。この4月の異動にはかなりの不安を感じている。
 人事権は自治体の首長が持っているはずだが、実際のところ誰が決定に影響を及ぼしているのかはわからない。トンデモな人事には、きっと何かの意図があるのだろうが、本当のところはわからない。納得できなくても抵抗する方法はなく、ひとまずは現実を受け入れざるをえない。そして、後任の人柄を見ながら、自治体内の誰にどんなふうに頼っていくのが一番いいのか、を再考していくことになる。誰がどんな福祉観を持っているのか。どんなコミュニケーションを好むのか。
 行政批判は簡単にできるけれど、何もわかってない行政職員をいかに熱心にしていくか、についての検討は少ない。所得保障であれ、介護であれ、相談援助であれ、福祉制度を機能的に代替できるものは決して多くない。どんなにすぐれたケアワーカーやソーシャルワーカーでも、制度がまともに運用されない中では、できることは限られている。地域福祉論でいうところの「構造論」*1は、学生に受けが悪いだろうけれど、こうした事実を大学などでもっと強調して教えておいたほうが、卒業後に現場へ入ってから失望しないで済むのではないかと思うのだけれど、どうか。
 それから、社会福祉協議会の人事について、誰か知っている人いたら教えてほしい。地方の事務局長って、どうやったら変わるんだろうか。

*1:この「構造論」「機能論」という区分は、社会学概念の使い方としては問題含みだと思う。これについては、またいつか書きたい。