読了
- 作者: 数土直紀
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2005/01/14
- メディア: 新書
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たぶん、この本の内容に納得できないということではなくて、自分が気になっていることについては中心的に扱っていないというだけのことだろうと思う。例えば、ソーシャルワークでいう「ナラティブモデル」などは、まさにこの「幻影」が実体視されてしまったところを、いかにして語りを通じて「再構成」するか、が実践上の課題である。とすれば、この本の結論自体は臨床家にとってはさほど珍しいものではないように思う(ただ、そこに至るまでの論理的な手続きの丁寧さは、社会福祉研究者もきっと見習った方がいい)。
その点で言うと、幻影を信じるからこそ手に入れることのできている自由というのもまたあるんじゃないだろうか、とか、「幻影」と「幻影ではないもの」の区別ってできるんだろうか、とか、また別の視点からの議論が進めば、理論の応用のために得られるものも多くなっていくような気がした。なんだか、とても難しい話になりそうだけれど。