泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

衆院選・政党公約比較2021(障害者分野)

2年3か月ぶりの政党公約比較(障害者分野)です(「マニフェスト」ってすっかり言わなくなったので、少しタイトルを変えました)。

過去のものは、こちらからどうぞ。→参院選2010衆院選2012参院選2013衆院選2014参院選2016衆院選2017参院選2019

「障害者」は選挙の争点になりません。しかし、関連する公約は政党のカラーを色濃く反映します。選挙ごとに変化する内容とボリュームからは、政党と社会の「今」が垣間見えます。今回もまとめてみて「発見」はありました。

障害福祉」に関して言えば、比較をはじめた10年前とはずいぶん状況も変わりました。一方で、福祉制度だけで「障害者」の生活がよくなるわけではありませんし、積み残されたままの課題もあります。各党のスタンスを知り、どうぞ投票の参考にしてください。

あらかじめお伝えしておくと、ボリュームが多すぎる場合は、政党のウェブサイトへのリンクを貼ることにとどめています(以下に転載した部分だけでも全部読むのは大変ですので、今回は一部に色をつけるなどもしましたが、適当に読み飛ばしてコメントも参照してください)。また「障害」に焦点をあてた部分のみを抜き出したものであり、ここに書かれていないことが「障害者」と関係ないということでもありません。

まず、政権与党から見ていきます。

自由民主党

令和3年政権公約・政策BANK

「分配」政策で、「分厚い中間層」を再構築する。

○高齢者、女性、障害者を含め、誰もが自ら望む形で働ける社会を目指します。

○障害のある方の就労機会を増やすために、職業紹介の推進とともに、コロナ禍で赤字になっている「就労系障害福祉事業所」への支援を行います。

「全世代の安心感」を創出する。

○看護師、介護士、幼稚園教諭、保育士をはじめ、賃金の原資が公的に決まるにもかかわらず、仕事内容に比して賃金の水準が長い間低く抑えられてきた方々の所得向上に向け、公的価格のあり方を抜本的に見直します。

○ご高齢の方や障害のある方の家庭ゴミの個別回収支援に使える「特別交付税」の活用を促進します。

安全で安心な社会、健康で豊かな社会を創る。

○卒業・成人式などの節目や、社会福祉協議会自治会による催しの場で、「社会制度教育」を推進します生活保護の申請ができずに亡くなったり、育児や介護の負担に耐えられなくなったり、進学を諦めたりする方が居なくなるように、生活・育児・介護・障害・進学への支援策など利用可能な施策の周知を徹底します。

社会保障

○全ての世代が安心できる、医療、介護、年金、少子化対策をはじめとする社会保障全般の総合的な改革を更に進め、持続可能な全世代型社会保障を構築します。少子化対策については、安定的な財源の確保を含め検討し、強力に推進します。

雇用調整助成金等により雇用と生活を守ります。併せて、安定的な財源を確保しつつ、成長・人手不足分野への人材移動を促進します。高齢者、女性、障害者を含め、誰もが自ら望む形で働ける社会を目指します。

国の基「農林水産業」を守り、成長産業に。

○障害者・生活困窮者の自立や高齢者の健康・生きがいの向上のための福祉農園の整備、障害者が農業技術を習得するための研修等を支援し、農福連携を強力に推進します。

◆教育・文化・スポーツ

○「文化財の匠プロジェクト」の推進等を通じて、わが国が誇る貴重な文化財を適切に保存し、確実に次代へ継承します。また、障害の有無を問わず、全ての国民に、“文化芸術や伝統芸能を体験する機会“や“質の高い実演芸術を鑑賞する機会”を提供します。

○障害の有無を問わず、全ての国民が各種スポーツに活発に参加できるよう地域施設等の環境整備を行い、健康増進と生活の質の向上を図ります。オリ・パラアスリート等との交流を通じて、子供たちとの意欲と体力向上につなげます。また、心のバリアフリー教育やホストタウン等の取組みを、今後の交流や共生社会の実現に活かしていきます。

◆多様性・共生社会

パラリンピックのレガシーを活かし、障害のある方の自立と社会参加のため、福祉、医療等の充実に努めるとともに、障害者雇用と福祉の連携を強化し、障害者の就労を推進します。

社会保障、教育・文化・スポーツ、農林水産業、(多様性・)共生社会というカテゴリーに含んでいるのは前回の選挙時と同じです。障害福祉制度については、事業者側への支援についてコロナ禍で経営に打撃を受けた「就労系」事業所への配慮を見せつつ、障害者にとっての制度の不備については何も触れていません。

「看護師、介護士、幼稚園教諭、保育士をはじめ、賃金の原資が公的に決まるにもかかわらず、仕事内容に比して賃金の水準が長い間低く抑えられてきた方々の所得向上に向け、公的価格のあり方を抜本的に見直します」はかなり踏み込んだ書き方と思いました。前々回の選挙では「待遇改善」、前回は「人材確保」という表現でした。「公的価格のあり方の抜本的な見直し」には財務サイドからの異論も強いでしょう。

農林水産や共生社会などのカテゴリーに含みつつ、障害者の「就労」「雇用」に関する記載が多い、という読み方もできるかもしれません。農福連携も前回に続き「強力に推進します」で、実際に近年は推進されている印象があります。

「家庭ゴミの個別回収支援」だけがやけに具体的で不思議でした。特定の誰かの思い入れがあるのでしょうか。

ちなみに自民党の公約だけ「子ども」だけでなく「子供」表記なのは、「漢字を使わないのはけしからん」と某保守系大物議員が文部科学大臣時代に大号令をかけたためです。ただし、福祉関係の法令は変わってませんので、とてもおかしなことになっています。今回の公約はすべて「子供」で統一されていました。

なお、コピペができない仕様にされています。おかげで記事の作成がとても面倒でした…。

 

公明党

重点政策・衆院選政策集

高齢者・障がい者の移動支援、デジタル活用支援等

⚫高齢者や障がい者等の地域住民の“移動の不便”を解消するため、予約して柔軟に利用できるデマンド(乗合)タクシーの利用補助や、バス、タクシー、鉄道等の公共交通機関の割引など、地方自治体や交通事業者と連携した取り組みを拡充し、移動の足も社会保障として一体的に支援します。

⚫鉄道駅のバリアフリー化を加速するため、2025年度末までに平均利用者数3,000人以上の駅を、可能な限り早期に原則として全てバリアフリーするとともに、ホームからの転落を防止するため、全国のホームドアの設置数を、2025年度末までに全国で3,000箇所(番線)(2019年度末比で約1.5倍増)まで整備します。

2.ポストコロナの成長戦略

②デジタル社会の構築

●視聴覚障がいをはじめとした障がい者の方が情報アクセスの機会を確保するため、必要な対策を講じます。また、外国人の方が適切な情報に到達できるよう、多言語対応を促進するなど、誰もが安心して暮らせる社会をめざします。

③人材への投資と円滑な労働移動

●介護や障がい福祉などの人材不足分野や、IT など成長分野への失業なき労働移動を促進するため、必要な処遇改善を図るとともに、教育訓練の充実、ハローワークと民間求人メディアの連携、キャリアアップ助成金等各種助成金を活用した支援を推進します。

農林水産業の活性化

障がい者等が農林水産業を通じ、生きがいを持って社会参画できる農福連携等を全国的に展開するため、双方のマッチングシステムの構築及び事業者の拡大や優良事例の表彰等による情報周知、専門人材の育成等を進めます。

⑨文化芸術・スポーツの振興

●2020東京大会をきっかけとして、障がい者が身近な地域でスポーツを親しむことができるよう、気軽に利用できる施設等の環境整備、競技の指導者の育成、心のバリアを取り払う教育の充実など、ハード・ソフト・ヒューマンのさまざまな面からの支援を推進します。

⑬多様で柔軟な働き方の推進、ソーシャルビジネス等、地域雇用の創出

●障がい等さまざまな生きづらさを抱えながらも働く環境を整えるため、雇用と福祉の連携を図り、障がい者雇用の推進、通勤・勤務に対する支援、就労準備支援事業を活用した支援付就労等多様な就労を支援します。

3.子育て・教育

②教育の無償化の拡充等

●幼稚園、保育園等が、外国籍や医療的ケアが必要な子ども等、特別なケアが必要な子どもたちの地域の受け皿として機能できるよう、支援の強化を図ります。

③結婚・妊娠・出産への支援、子ども医療費の負担軽減等

●家族の負担を軽くするレスパイトケア(一時的に介護や育児から解放されリフレッシュするための支援サービス)のための拠点整備や、妊娠や育児で不安や負担を抱える家庭に産後ドゥーラ(産前産後の母子専門の支援員)が相談支援や家事支援等を行う体制整備を推進します。また、訪問看護の活用や保育所や幼稚園等への看護師の配置などを通して、医療的ケアが必要な子どもへの支援を拡充します。

ICT活用によるきめ細かい教育の充実

●紙との併用によるデジタル教科書の普及・無償化を進めるとともに、動画や朗読音声などで学びを深められるようデジタル教材と組み合わせた活用を推進します。また、デイジー教科書等の音声教材の製作支援を拡充します。

⑨誰一人取り残さない学びのセーフティネット

不登校の子どもの学ぶ機会を充実させるため、フリースクールへの支援及び連携体制の構築、教育支援センターの機能強化、不登校特例校の整備、学校内における居場所の確保などを推進します。また、障がいが理由で不登校となっている子どもたちに対し、訪問教育による指導を充実します。

●医療的ケア児を含めた障がいのある子どもの学習を充実させるため、質の高い学びや読書の環境整備、大学等を含む生涯を通じた多様な学習活動、文化芸術・スポーツ体験活動などの充実を図り、一人ひとりの個性や可能性を伸ばす教育を進めます。

●障がいがあっても読みたい本を読めるよう、視覚障がい者等が利用しやすい書籍等の充実などによる環境の整備を図ります。

特別支援学級の教職員定数を改善するとともに、特別支援学校における教室不足の解消やバリアフリー化などの教育環境の整備を加速化します。

4 つながり支えあう社会(地域共生社会)

障がい者施策の充実

●医療的ケア児がどこに住んでいたとしても、安心して暮らすことができるよう、「医療的ケア児支援法」に基づき、日常生活における支援や相談支援、保育所・学校等における医療的ケアなど、医療的ケア児・者やその家族が適切な支援を受けられる体制を整備します。

●医療的ケアを必要とする成人の教育や雇用・労働などについてのニーズを把握し、支援策につなげる取り組みを推進します。

●医療的ケア等重度障がい者の学びを支援する訪問型生涯学習を推進します。

●共生社会の実現のために、改正障害者差別解消法の円滑な施行に取り組むとともに、障がい者施策を見直ししつつ、必要に応じて、障害者基本法、障害者虐待防止法などの法制度の改正を行います。

●発達障がいを含めた障がいのある子どもが早期から継続的に適切な教育や支援を受けられるよう、発達障がい等の早期発見・早期療育支援、情報の適切な共有・引き継ぎなど、関係機関の連携による乳幼児期から就労期まで一貫した支援の仕組みづくりを推進します。

強度行動障害の方が安心して暮らす住まいを確保するとともに、家族も支え、早期から支援する仕組みを構築します。

障がい者が安心し、生きがいを持って地域生活を送れるよう、グループホーム等の整備、在宅就労などの就労・定着支援、発達障がい児・者の地域支援体制の強化に取り組みます。

障がい者等の社会参画のため、農業・福祉双方の連携の発展に向けた環境の整備、専門人材の育成等を進め、農福連携の全国的な推進を図ります。

●新生児聴覚スクリーニングにより、聴覚障がいのある子どもを早期に人工内耳や補聴器などの適切な治療や療育につなげる体制を整備します。また、聴覚障がいに応じた人工内耳や補聴器の支援を行います。さらに、難病による聴覚障がいに対する補装具の特例支給を推進します。

認知症の人等の大幅な増加や障がい者等のために、地方自治体が、市民後見人を育成し担い手を確保できるよう研修等の支援を拡充するとともに、誰もが早期に成年後見制度を利用できるよう、成年後見制度利用促進基本計画等に基づき、地域連携ネットワークの機能強化や関係者間の連係・協力体制の強化に取り組み、持続可能な権利擁護の支援を推進します。家庭裁判所の必要な定員の確保など体制整備を引き続き進めるとともに、家庭裁判所地方自治体、行政機関や成年後見実施の民間団体と連携を図ることによって監督体制強化をめざします。

⑨住まいと暮らしの支援

●高齢者、障がい者等が健康で安心して暮らせる住まいを確保するため、改修や住み替え、バリアフリー情報の提供等、高齢期に備えた総合的な相談体制を整備するとともに、エレベーター設置を含むバリアフリー性能やヒートショック対策等の住宅の整備やリフォーム等を促進します。

バリアフリー、ユニバーサル社会の実現

●誰もが安心して暮らせ、生き生きと活躍できる真の「ユニバーサル社会(共生社会)」を実現するため、障がい者や高齢者等の方々の意見や要望等を丁寧に汲み取りながら、ハード・ソフトにわたるさまざまなバリアフリー施策を加速するとともに、障がい者と健常者を分け隔てないインクルーシブな社会づくりを進めます。

●「心のバリアフリー」を推進するため、国民全体に向けた広報活動、ヘルプマーク等の普及・促進、学校教育や民間企業等を巻き込んだ国民の意識改革を進めます。また、高齢者や障がい者等の介助体験や擬似体験、バリアフリー化された施設の体験等を行う「バリアフリー教室」の開催や、高齢者障がい者等用施設の適正利用、公共交通機関や公共施設等におけるベビーカーの利用円滑化に向けた普及啓発活動等を推進します。

●鉄道駅におけるエレベーター設置等による段差解消や点字ブロック、ホームドアや分かりやすい案内板、洋式トイレやバリアフリートイレ、子育て支援施設等の設置、エレベーターの大型化、複数ルートの構築、電車内の車いすスペースの確保等を推進するとともに、公共交通事業者の職員の接遇・研修等の取り組みを強化・促進します。

●近年、全国で鉄道駅の構内や改札の無人化が増加傾向にある中で、障害の有無にかかわらず鉄道サービスを安全かつ円滑に利用するための環境整備を図るため、障がい者の方々への適切な案内や情報提供、駅の利用に関する事前連絡、列車運転士等の乗務員による介助の実施等の取り組みを促進します。

障がい者ICカード」並びに「特急車両における車いす用フリースペース」の導入の早期実現に向けた検討等を加速化します。特に、関東圏における「障がい者用 IC カード」については、2022 年度内に導入します。また、ウェブによる障がい者用の鉄道等の乗車券や乗船券の予約・決済(マイナポータルとの連携を含む)を実現するとともに、鉄道運賃の精神障がい者への割引の導入を促進します。

●誰もが当たり前に、快適に移動や旅を楽しむことができる、世界最高水準のバリアフリー環境を有する高速鉄道を実現するため、今後、新たに導入される新幹線車両については、車いす用フリースペースを設置し、ウェブの予約システムを導入するとともに、授乳室等の多目的室や車いす対応トイレ等の利用環境を改善するなど、新幹線のバリアフリー化の取り組みをさらに推進します。

●高齢者や車いす利用者、ベビーカー利用者や妊娠中の方など、誰もが利用しやすいユニバーサルデザインタクシー(UD タクシー)等の福祉タクシーについては、さらなる普及とともに、より利用しやすくするための車両改善やドライバーの研修等の取り組みを進めます。

●貸切バスや高速乗合バスのバリアフリー化を進めるため、ノンステップバス、リフト付きバスやスロープ付きバスの導入を促進します。また、遊覧船、旅客船等における車いすのスペースの確保など、バリアフリー施設の整備等を推進します。また、空港へのシームレスな接続が可能となるよう、バリアフリー化した空港アクセスバス車両の導入を推進します。

バリアフリーのまちづくりを推進するため、市町村が作成する基本構想に基づき、重点整備地区において重点的かつ一体的なバリアフリー化を推進するとともに、幅の広い歩道の整備や段差等の改善、音の出る信号機の設置、無電柱化、視覚障害者誘導用ブロックの整備等による歩行空間のバリアフリー化を推進します。また、ICT を活用した歩行者移動支援サービス(バリアフリー・ナビプロジェクト)の普及を促進します。

●人が集まる駅前広場やBRTの停留所、駅周辺における道路のバリアフリー化とともに、高速道路におけるSAや「道の駅」における子育て応援施設の整備等のバリアフリー化を推進します。

●住宅や建築物等に関するバリアフリー化を促進する取り組みを支援するとともに、災害時において避難所となる公立小中学校等については、バリアフリートイレやスロープ、エレベーターの設置等、災害弱者に配慮したバリアフリー化を推進します。また、建築物、道路、都市公園、路外駐車場のバリアフリー情報の提供を促進します。

5 人生100年時代を見据えた安心の社会保障

認知症施策の推進、介護サービスの充実

●新たな機器の開発や見守りを含めた介護ロボット等の効果的な活用により、高齢者や家族等の負担を軽減するとともに、障がい者や高齢者がロボットを用いて生活の質を向上させる取り組みや、ロボット介護機器の海外展開を推進します。

⑥アレルギー疾患対策の推進

●医療従事者や保健師、学校教職員等に対するアレルギー研修を充実するとともに、地域の保健医療を支える専門職がアレルギー疾患対策の保健活動について学ぶ国立保健医療科学院におけるアレルギー研修を創設します。学校や保育所に続いて、児童福祉施設や障がい児施設、高齢者施設等でのアレルギー対応ガイドラインの策定を推進します。

⑩年金のセーフティネット機能の強化

障害年金専用相談窓口を設置します。

6 防災・減災・復興を社会の主流に

①被災者支援の一層の充実

●高齢者や障がい者、妊産婦・乳幼児等の要配慮者を受け入れる福祉避難所の指定を促進するとともに、事前に受け入れ対象者を調整し、人的・物的体制の整備等を図ることにより災害時に直接、福祉避難所への避難等を促進するなど要配慮者の支援を強化します。また、緊急防災・減災事業債を活用した指定福祉避難所の機能強化を進めます。

公明党は前回の選挙で障害者関連のボリュームを増やしていたのですが、さらに増えました。もともと「移動・バリアフリー」や「ICTの活用」に熱心な党で、かなり具体的な提案が多く見られます。特に移動・バリアフリーは公約全体の中でも重点項目です。

医療的ケア、強度行動障害、発達障害視覚障害聴覚障害など、多様な障害に広く言及されており、特別支援教育についても記載が多く、さまざまな立場の方から声を寄せられていることが感じられます。デイジー教科書(マルチメディア教科書)や通級指導の充実など、特別支援教育関連は昔からツボを押さえており、今回は「不登校」関係の記載も多いですね。障害が原因で不登校になっている子への訪問教育、なんて提案も出てきました。

医療的ケア児支援法・改正差別解消法・障害者基本法・虐待防止法などの名前を挙げて、積極的に活用(必要に応じて改正)していこう、という表明はあるものの、福祉サービスについて定めた「総合支援法」については名前を出していません。これは前回も同じです。障害者への直接的な支援メニューについては基本的な整備を終えた、という認識でしょう。

「多様で柔軟な働き方」に関する項目の中で「(障害者の)通勤・勤務に対する支援」を書いています。いま福祉サービスが使いにくく、野党からも批判のある部分です。この課題を正しく認識しつつ、「障がい者施策」の項目中に書かない(書けない?)ところに、今の立ち位置がよく表れていると感じました。

他には「障害年金専用相談窓口」「アレルギー対策」「成年後見」なども特徴的な記載事項です。

さて、ここから野党です。

立憲民主党

政権政策2021
政策集2021

4 暮らしの安心への投資

暮らしを支える担い手の処遇改善

介護・障がい福祉サービスや、医療、放課後児童クラブ、保育などのベーシック・サービスの質・量を充実させます。そのため職員の待遇改善を図り、希望する非正規職員について5年をめどに正規化します。

経済政策

【ベーシック・サービスの充実により、「将来不安」を解消】

○ベーシック・サービス(医療、介護、障がい福祉、子育て、保育、教育、放課後児童クラブ等)の充実により、将来不安を解消することで、経済成長を促します。

ジェンダー平等

○女性障がい者が直面する課題への対応を強化します。「女性障がい者」の枠組みでの実態調査を行います。意思決定の場への参画を進めていきます。

○障がい児・者に対する性暴力、DV被害の実態調査研究を行い、対策を推進します。

性暴力の禁止

○メディアにおける性・暴力表現について、子ども、女性、高齢者、障がい者をはじめとする人の命と尊厳を守る見地から、人々の心理・行動に与える影響について調査を進めるとともに、情報通信等の技術の進展および普及のスピードに対応した対策を推進します

【子どもに対する性犯罪の根絶】

○特別支援学校教員やベビーシッター等による知的障がい児等への性的虐待の増加を踏まえ、具体的な対策を検討します。

ひとり親等支援

○障がいのあるひとり親家庭生活保護家庭を支援する障害者加算、母子加算を継続し、障害年金児童扶養手当の制度拡充を行います

困難を抱える女性への支援

【困難を抱える女性支援法の制定】

○DVや性犯罪被害、家族破綻、貧困、障がい、社会的孤立など、さまざまな困難を抱えた若年女性が増えているにもかかわらず、法律の狭間にあって適切な支援を受けにくい状況が指摘されています。切れ目なく人生のそれぞれの段階で適切な支援が受けられるよう、包括的な体制を構築します。

【様々なニーズへの対応】

障がいのある女性に対する複合的な差別の防止のための必要な措置を講じます。

障がい者への支援

○女性障がい者が直面する課題への対応を強化します。「女性障がい者」の枠組みでの実態調査を行います。意思決定の場への参画を進めていきます。

○障がい児・者に対する性暴力、DV被害の実態調査研究を行い、対策を推進します。

消費者

【消費者行政の強化】

悪徳商法・特殊詐欺等による、特に高齢者や障がい者等に対する消費者被害を防止するため、地域における見守り活動の推進、消費者ホットラインの周知と利便性の向上、多様な媒体を通じた広報活動の充実などに取り組みます。また、その担い手である消費者団体の専門人材の育成や財政面・情報面等の支援を進めます。

災害対策

○“全ての人がお互いさまに支え合う「インクルーシブ」な災害対策”を構築し、地域、世代、性別、職業、障害の有無などにかかわらず全ての層の代表が参加して情報収集、発信、避難計画および実施、避難所運営などをする分権型の防災体制をつくります。

○高齢者、障がい者など要支援者の避難計画(個別計画)を早急に策定します。

地震津波被災地域の復興に向けて

○災害公営住宅では家賃負担上昇による退去者の増加や若い世代の収入超過による退去が発生しており、コミュニティの担い手不足につながるなど、復旧・復興の阻害要因にもなっていることから、一人暮らしの高齢者や障がい者、高齢世帯などの見守りを行う入居者や、自治会の担い手が収入超過により退去することのないよう、家賃の上昇を緩和するなど実情に合わせて柔軟に対応します。

被災地の創造的復興に向けて

○復興の推進に当たっては、ジェンダー平等の観点や障がい者の視点を尊重しながら取り組みます。

法務

○インターネット上の誹謗中傷を含む、性別・部落・民族・障がい・国籍、あらゆる差別の解消を目指すとともに、差別を防止し、差別に対応するため国内人権機関を設置します。

差別解消

○インターネット上の誹謗中傷を含む、性別・部落・民族・障がい・国籍、あらゆる差別の解消を目指すとともに、差別を防止し、差別に対応するため国内人権機関を設置します。

社会復帰支援

○犯罪の総件数が減る一方で、罪を犯した者が罪を繰り返してしまう「再犯率」が高いことが問題となっています。「再犯の防止等の推進に関する法律」をもとに、刑期を終了した人たちが二度と罪を犯さないで済むよう、高齢者や障がいのある人、薬物依存歴のある人など、実情に応じた矯正プログラムの見直しや、刑期終了後の就職支援等の充実を図ります。

文部科学

特別な支援を必要とする子どもへのきめ細かい対応策

【インクルーシブ教育・特別支援教育

希望する子どもたちが障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学ぶことを追求し、難病や内部障がい、医療的ケア児を含む個別の教育ニーズのある子どもに対し、適切な指導と必要な支援を提供できるインクルーシブ(ともに生きともに学ぶ)教育を大学教育に至るまで実現します。

○一人一人に応じた支援を行うため、特別支援教育のあり方について検討を進め、充実のための体制整備を図ります。

○子どもが発達段階や習熟度に応じた指導を受けられるよう、通級による指導も含め、体制・支援を充実させます。

【医療的ケア児の支援】

○「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」に則り、たんの吸引や経管栄養などを必要とする医療的ケア児の支援を拡充します。医療的ケア児の保育や学校教育等を受ける権利を保障するために、看護師を保育所や学校等に配置することや、研修を受けた介護福祉士等を学校に配置するための環境整備を進めるとともに、通学支援などを拡充し、希望する学校等に通学しやすい環境を整えます。医療的ケア児を家庭だけでなく社会全体で支えるための支援事業を拡充します。

【「ヤングケアラー」への支援】

○ヤングケアラーについての公的な調査が実施されたことを踏まえ、問題の社会的周知の徹底、ヤングケアラーを早期発見し、関係者と情報共有する体制構築の推進、ヤングケアラー家庭への支援、教育や就労面等での支援など取り組みの大幅拡充を行います。特に、カウンセリングなどの支援、家事支援やレスパイトケアなど、子どもと家庭への必要な支援策を拡充し、子どもの心身の発達と学びを支えます。また、自治体がヤングケアラーのアセスメントおよびケアマネジメントを行う部署を設置したり人材を確保できるよう、国が支援を行います。

スポーツ

障がい者スポーツの普及、支援】

障がい者スポーツの普及・支援、指導者・選手の育成など環境整備を進め、障がい者のスポーツ参加や大会開催を促進します。

厚生労働

【ベーシック・サービスの拡充】

○少子高齢社会に対応し安心して暮らせる社会にむけて、医療・介護・障がい福祉・保育・教育・放課後児童クラブなどのベーシック・サービスの質・量を拡充し、誰もが必要なサービスを受けることのできる社会を目指します。

○ベーシック・サービスを支える人材を確保するため、ベーシック・サービス従事者の処遇改善を図り、希望する非正規職員について5年をめどに正規化します。ベーシック・サービスの従事者の処遇改善は、結果として地域経済に潤いをもたらし、個々人の消費を拡大させることで内需を充実させるものでもあります。

○誰もが必要な医療や介護、子育て支援などのサービスを、必要なときにためらうことなくサービスが受けられるよう窓口などでの自己負担を適正化します。

【介護職員の処遇改善】

○介護現場の人手不足解消のために、立憲民主党が提出した「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」を早期に成立させます。これにより、介護職員以外の職種も含め、介護サービスの事業所で働く全ての職員1人当たり1万円の賃金引き上げを実現します。

○全ての介護職員の賃金を全産業平均の水準に引き上げることを目指して、着実に処遇改善を行います。

【インクルーシブ防災の推進】

災害対策基本法の改正を踏まえ、災害で誰も取り残すことがないよう、高齢者や障がい者などが避難計画策定や防災教育段階から関与する「インクルーシブ防災」を推進し、災害弱者対策を強化します。

【人材の育成、就労支援】

○高齢者を中心に再犯率が高く、刑務所が福祉施設の代替となっている現状があります。特に高齢者や障がい者等の受刑者については、その特性に応じて刑務所出所後の就労支援など再犯防止を法務省のみならず厚生労働省との共通事業として取り組みます。

社会保障と税の一体改革

○少子高齢社会に対応し安心して暮らせる社会にむけて、医療・介護・障がい福祉・保育・教育・放課後児童クラブなどのベーシック・サービスの質・量を拡充し、誰もが必要なサービスを受けることのできる社会を目指します。

【歯科医療】

○生涯健康な歯を持つことができるよう、乳児から高齢者まで切れ目ない定期歯科健診の普及促進、高齢者・障がい者の地域生活を支える在宅歯科診療・障がい者歯科医療の充実を図ります。また、虐待の早期発見にもつながるよう小児歯科検診の充実に取り組みます。

障がい・難病

【総論】

○「障害者の権利に関する条約」の批准のための一連の障がい者制度改革の成果を踏まえながら、2014年に批准した同条約を誠実に履行するため、条約の規定に基づいて、住み慣れた地域で、誰もが居場所と出番がある社会を実現します。

○障がいのある人のニーズを踏まえ、障がい種別や程度、年齢、性別を問わず、難病患者も含めて、家族介護だけに頼らずに、障がいのない人とともに、安心して地域で自立した生活ができるよう、仕組みづくりや基盤整備、人材育成に取り組みます。

精神疾患による患者やその家族への地域生活支援の強化等を充実させ、地域で自立した生活ができるよう、病院から地域への移行を促進します。移行に必要な生活支援のあり方については、当事者とともに議論しながら検討します。また、患者の尊厳を守るため、精神科病院での身体拘束の削減を進めます。

改正された障害者総合支援法の附則を踏まえ、2011年の障がい者制度改革推進会議総合福祉部会の骨格提言の理念の実現を目指します。重度訪問介護の支援区分中度者への対象拡大や、常時介護を要する障がい者等に対する支援、障がい者等の移動や就労の支援、障害福祉サービスのあり方、障害支援区分の認定を含めた支給決定のあり方、意思疎通を図ることに支障がある障がい者等に対する支援のあり方等のうち、積み残された課題について検討します。

障害福祉サービス等報酬の増額による経営の安定化とサービスの質の向上を進めます。

障害福祉サービス等報酬の改定に当たっては、全ての障害福祉事業者のサービスが安定的に提供されること、障害福祉従事者の賃金が改善して生活が安定し、離職が防止されることにつながるよう配慮し、福祉施設事業所の活動の質の評価を反映させる仕組みの導入や、事務職やパティシエ等の技術指導者の処遇改善も行います。

障害福祉従事者の賃金を他産業並みに引き上げることを目標とし、第1段階として、「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法」を早期に制定し、月額1万円の引き上げ(政府の措置に上乗せ)を実現します。

障害福祉サービス等報酬改定で食事提供体制加算の廃止や、送迎加算の引き下げが行われないよう、「食事加算等存続法」を制定します。

○学校、病院の通報の義務化など第三者によるチェック体制を整備することなど、障害者虐待防止法を改正し、病院や学校等での虐待防止を進めます。

障がい者の活躍の場を広げるとともに障がい者本人の意思決定を尊重するため、成年後見制度をはじめとするさまざまな制度のあり方を検討します。

○旧優生保護法下での強制不妊手術被害者に対する一時金支給法の施行を受け、地方自治体と連携し、対象者への周知に取り組みます。また、強制不妊手術が進められた背景・原因を検証するとともに、優生思想の問題点や社会の多様性の重要性について、啓発を進めます。

○共生型福祉施設設置など、共生環境を整備します。

○「社会保障と税の一体改革」の3党合意にある、医療・介護・障害福祉等に関する社会保障サービスの自己負担の合計額について所得に応じて上限を設ける総合合算制度を創設します。

災害対策基本法の改正を踏まえ、災害で誰も取り残すことがないよう、高齢者や障がい者などが避難計画策定や防災教育段階から関与する「インクルーシブ防災」を推進し、災害弱者対策を強化します。

○「インクルーシブ防災」の実現に向けて、避難所等のバリアフリー化のための改修の要件拡大を進めます。

○災害時支援の充実、小規模ホームのスプリンクラー設置を支援します。

○UD(ユニバーサルデザイン)推進のために改修補助制度を拡充します。またホテル等のバリアフリールームの拡大とUD化を推進します。

○鉄道の駅ホームからの転落防止等の安全対策のうち、財政的な負担の大きさから工事等が遅れているものについては、国が財投資金等を活用して早急に進めます。(再掲)

障がい者の暮らしを支える制度を拡充します。介護保険優先原則の廃止、障害年金の引き上げなどを検討します。

障がい者の公共交通運賃補助制度の拡充を図ります。

障害福祉サービスにおける脱施設化を計画的かつ戦略的に進めます。

障害者基本法、障害者虐待防止法の改正、差別解消法の実効性ある運用】

精神障がい、知的障がい、身体障がいの当事者の政策決定過程への参画を実現し、ともに議論しながら障がい者政策を進め、内閣府に設置した政策委員会の機能強化など、障害者基本法の改正を検討します。また共生社会の創造に向けた地域住民・NPOの活動に対する支援をより拡充するとともに、それらを通じて障がいの軽重にかかわらず、健常者とできる限り同等に社会に参画する選択肢を増やしていきます。

○障がいの有無によって分け隔てられることなく、自立した生活が送れるよう、障がいのある人もない人もともに生きる共生社会を実現するため、改正障害者差別解消法の附帯決議を踏まえるとともに、裁判外紛争解決の仕組みの検討など、同法の実効性ある運用を目指します。

【情報コミュニケーション法、手話言語法の制定】

○視聴覚障がい者などの自己選択と自己決定が実現できる社会環境を整備するため、「手話言語法」「情報コミュニケーション法」を制定します。

○視覚障がい者等の読書環境の整備を総合的に推進し、障がいの有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現を目指し、点字・音声と合わせ、大活字(拡大文字)版での情報提供や読み書き(代読・代筆)情報支援など、読書バリアフリー法の着実な運用に努めます。

【電話リレーサービスの着実な運用】

○聴覚障がい者と聴者を電話で即時双方向につなぐ電話リレーサービスの着実な運用に努めます。

障がい者の就労、社会参加等】

○「障害者の権利に関する条約」の第27条(労働及び雇用)が「締約国は、障害者が他の者との平等を基礎として労働についての権利を有することを認める」とうたっていることに鑑み、働く全ての障がい者にディーセント(働きがいのある人間らしい)でインクルーシブな就労の場を確保することを目標に据え、政策に取り組みます。

福祉的就労利用者の一般就労への移行を進めるため、現行の雇用率制度に基づく一般就労のあり方にさらなる検討を加え、すでに地方公共団体で導入事例のある多様な就労の場の創出や、尊厳ある生活を維持できる稼働所得の確保を目指します。

○就労継続支援B型や地域活動支援センター等を利用している障がい者についても、労働者性が一定程度認められ、労災や健康診断など、個々の実情に応じて労働法規が一部適用されて安心して働けるよう、障がい者の就労支援体系全体の再編も視野に検討します。

短期的には、現行の福祉的就労における低工賃問題への対応を図り、事業者への支援策の拡充を含めて、安定的な就労場所の確保や一般就労への移行促進も含めた自立可能な仕組みの構築を図ります。

通勤や就労中に利用できない重度訪問介護サービスについて、利用を可能にするため、「重度訪問介護支援拡大法」を制定します。

障がい者がそれぞれの能力を発揮できるよう仕事を切り出すなど、障がい者の雇用(国の行政機関および地方自治体を含む)を拡大し、定着支援を促進します。

○既存の発想にとらわれず、障がい者に対し、福祉と農業の連携など新たな社会参加・就労機会を提供します。

○障がいの有無にかかわらず、すべての人が生涯にわたり文化芸術やスポーツを楽しめる環境を整え、個々の心身を豊かにします。

障がい者雇用を促進する観点から、「障害者雇用納付金制度」のあり方を検討します。

【女性の障がい者への対応】

○複合差別など女性障がい者が直面する課題の実態調査を行い、意思決定の場への参画を進めていきます。

障がい者が性暴力・DV被害を受けた場合の対策を推進します。

【インクルーシブ教育】

○希望する子どもたちが障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学ぶことを追求し、難病や内部障がい、医療的ケア児を含む個別の教育ニーズのある子どもに対し、適切な指導と必要な支援を提供できるインクルーシブ(ともに生きともに学ぶ)教育を大学教育に至るまで実現します。(再掲)

通級指導や交流および共同学習が、障がいのある児童・生徒を部外者として位置付けることがないようにします。教員や介助員、教材等のあり方について検討しつつ、普通学級で障がいのある児童・生徒が十分に学べるための環境整備を進めると同時に、全ての教職員、普通学級の児童・生徒が、障がいのある児童・生徒とともに支えあい、仲間として受け入れる理解を深めるための取り組みを進めます。

○高校進学を希望する障がい者が、定員内にもかかわらず不合格になる事例もあることから、こうした定員内不合格を禁止するとともに、入試時および入学後の環境整備を推進します。

障害者放課後デイサービスの体制の充実並びに経営の安定化とあわせて、重度障がい児や医療的ケア児を含めた障がい児の受け入れを進めます。

○AYA世代(思春期・若年成人)のがん患者が治療を受けながら学業を継続できるよう、特に取り組みが遅れている高校生のための院内学級を整備します。

【医療的ケア児等の学ぶ権利の保障】

○「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」に則り、たんの吸引や経管栄養などを必要とする医療的ケア児の支援を拡充します。医療的ケア児の保育や学校教育等を受ける権利を保障するために、看護師を保育所や学校等に配置することや、研修を受けた介護福祉士等を学校に配置するための環境整備を進めるとともに、通学支援などを拡充し、希望する学校等に通学しやすい環境を整えます。医療的ケア児を家庭だけでなく社会全体で支えるための支援事業を拡充します。(再掲)

【オリパラ】

○2021年の東京オリンピックパラリンピックを契機とし、内部障がいや発達障がい者を含めた移動困難者にとって大都市だけでなく地方でも移動しやすいユニバーサルデザイン社会を実現します。また、バリアフリー法の対象に災害時の避難対策も含めて、避難所等のバリアフリーを実現します。

障がい者のスポーツや余暇活動に対する支援の充実に努めます。

【発達障がい】

○発達障がいに対する地域や企業、職場での他の職員、産業医の理解の増進、職場での意思決定支援者による支援の導入等により、さらなる障がい者雇用の拡充を図ります。

○発達障がい者に対して切れ目のない支援が行われるよう、2016年に施行された改正発達障害者支援法に基づき、発達障がいの疑いのある児童の保護者への支援、教育上の配慮、関係機関と民間団体の間での支援に資する情報の共有、就労の支援、地域での生活支援、権利利益の擁護、司法手続での配慮、発達障がい者の家族等への支援等を着実に進めます。また、特別支援教育コーディネーターの役割を担う教員のあり方について検討します。

○大人の発達障がいへの対応(就労支援、ピアサポート等)を強化します。

子ども・子育て

○特別支援学校教員やベビーシッター等による知的障がい児等への性的虐待の増加を踏まえ、具体的な対策を検討します。

【子どもの貧困対策強化】

○障がいのあるひとり親家庭生活保護家庭を支援する障害者加算、母子加算を継続し、障害年金児童扶養手当の制度拡充を行います。

【全ての子どもに質の高い保育・幼児教育を提供】

○延長保育、夜間保育、障がい児や医療的ケア児の保育など多様な保育を充実させます。

○希望する子どもたちが障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学ぶことを追求し、難病や内部障がい、医療的ケア児を含む個別の教育ニーズのある子どもに対し、適切な指導と必要な支援を提供できるインクルーシブ(ともに生きともに学ぶ)教育を大学教育に至るまで実現します。

【インクルーシブ教育の推進】

○幼児期から貧困、障がい、性的指向性自認(SOGI)などさまざまな困難によって子どもたちが不利益を被ることなく、ともに学び合い、支え合う包容力あるインクルーシブ(包摂的)な社会づくりの素地をつくります。あらゆる人が孤立したり排除されたりしないように支援し、社会の一員として包み、支え合う社会を目指します。

○希望する子どもたちが障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学ぶことを追求し、難病や内部障がい、医療的ケア児を含む個別の教育ニーズのある子どもに対し、適切な指導と必要な支援を提供できるインクルーシブ(ともに生きともに学ぶ)教育を大学教育に至るまで実現します。

【多様な教育機会の確保】

○発達障がい者に対して切れ目のない支援が行われるよう、2016年に施行された改正発達障がい者支援法に基づき、発達障がいの疑いのある児童や保護者への支援、教育上の配慮、就労の支援、地域での生活支援を充実させます。さらに関係機関と民間団体の間での支援に資する情報の共有、権利利益の擁護、司法手続における配慮、発達障がい者の家族等への支援等を着実に進めます。また、特別支援教育コーディネーターの役割を担う教員のあり方について検討します。

保育所学童保育などで作業療法士等と連携するなど発達障がい児への対応を進めていきます。

○発達障がい児に対する地域や保護者等の周囲の理解が進むように環境を整備します。

農林水産

○農福連携事業により、障がい者の農林漁業分野への就職や、就労継続支援事業所の農業への取り組みを強力に推進し、障がい者の社会進出と生活の質の向上を図ります

新型コロナウイルス感染症対策

医療等支援

○コロナ禍の下で医療従事者等に対する慰労金の支給を含む待遇改善を行います。20 20年7月から2021年1月の間に新型コロナウイルスの患者に対応した医療機関、介護・障がい福祉サービス事業所、子ども子育て支援施設の職員に20万円の慰労金、患者等と接する業務に従事した保険薬局の薬剤師に5万円の慰労金を支給します。また、2021年2月以降に、新型コロナウイルスの患者に対応した医療機関、介護・障がい福祉サービス事業所、子ども子育て支援施設の職員に20万円の慰労金を再度支給します。その際、支給対象に救急救命処置や傷病者の搬送業務に従事した救急救命士や救急隊員を追加します。

前回の公約から最も変化が大きかったのは立憲民主党です。過去最多の分量です。そもそも政策集が160ページもあるので、その中から該当部分を拾うのがとても大変でした。

ただし、これを「障害者施策に熱心な政党」と素直に受けとめてよいのかは微妙と思います。なぜなら、これはほとんど前回選挙での「国民民主党」の公約だからです。

作業療法士学童保育との連携」なんて、驚くほどマニアックな提案まで重なっており、偶然ではありえません。前回選挙では国民民主党の公約に網羅性があり、立憲民主党は5行ほどしか記載がなかったのが、きれいに逆転しました。誰か特定の人物が関与しており、この2年の間にその人物が立憲民主党に移ったのは明白です。特定の人物の有無で公約がこんなに変わるのは、政党として不安を抱かせます。

内容について。コロナ禍で「エッセンシャルワーカー」なんて表現も広まりましたが、多様な人たちへの支援をひとつにまとめて呼ぶことで支持層を分厚くしていきたいという思いがあるのか「ベーシックサービス」という表現で、医療・介護・障がい福祉・保育・教育・放課後児童クラブなどをまとめてきました。

ベーシックサービスで働く人々の待遇改善や正規雇用は政策パンフレット(おそらく重点項目)にも掲載されています。ベーシックサービスを充実させることが、将来不安を解消して経済成長を促すという書き方はこれまでに見たことがなく「分配」だけでなく「成長」も訴えなければという思いがにじんでいます。

政権交代時に障害者自立支援法の改正をしようと当事者を集めて「骨格提言」を作ったものの、結局はマイナーチェンジだけの「総合支援法」を成立させてしまった民主党。多くの関係者の失望を招きました。障害者施策について与党を追及できない状況が続いていたと思います(自分たちが与党のときに成立させた法律ですから当然です)。時間が経って、ほとぼりもさめたという判断でしょう。障害福祉サービスについても、多くの不備を指摘しています。

自分は子どもの支援を中心にしているので、どうしても関連する内容を丁寧に見てしまいます。「通級指導や交流および共同学習が、障がいのある児童・生徒を部外者として位置付けることがないようにします」「障害者放課後デイサービスの体制の充実並びに経営の安定化」など、現況がわかっているのだろうかと思える点は多かったです。交流はともかく通級指導が子どもを「部外者」扱いって何?とか、「障害者放課後デイサービス」って名前から間違っているし、収支差率を知ってる?とか。

共産党

22、障害者・障害児


(リンク先をご覧ください)

共産党の公約はいつもリンクを貼るにとどめています(主要政党のようにPDFでないので、端末から読みやすい利点はあります)。各地で多くの当事者や関係者から聞いた声はすべて詰め込んでいるのでしょう。

障害者の介護は依然として家族におしつけられたままであり、障害福祉は国際的に低水準だという現状認識のもとで、大企業や富裕層の負担を増やし、軍事費を減らし、障害福祉予算を増やし、事業所への報酬を上げ、必要なときに必要な支援が誰でも受けられるように対象やメニューを拡充しよう、という感じです。

当事者が望む施策については多様な声を拾えていると評価してよいと思うのですが、支援の供給サイドについては「営利企業参入が相次ぎ、本来のあり方とかけ離れた事業所が増えています」と言いながら「報酬引き下げによって、厳しい運営をせまられています」というチグハグな内容も見られます。厳しいなら営利企業がなんでこんなに参入するのか。説明はありません。

規制緩和が進んだことへの批判はあっても、民間企業の参入を禁じろと明記するわけではないため、この公約に基づいて施策を進めれば、いっそう競争と顧客の囲い込みが激化するだけです。仮に民間企業を排除したところで、今度は非営利の法人が儲けるだけでしょう。

日本維新の会

基本政策 維新八策2021

産業別)成長戦略

(8)芸術・科学・スポーツ文化振興

137. 障がい者スポーツを含む各種競技の国際大会の招致を推進し、スポーツによる都市魅力の向上、地域経済の活性化・健康増進を図ります。

4 多様性を支える 教育・ 社会政策 、 将来世代への徹底投資

教育

(2)制度改革

184. 大学入試改革における英語試験については、経済格差や地域格差障がい者対応などに十分に配慮した上で、民間試験導入を進めます。

(6)不登校・いじめ対策、特別支援

200. 障がい児への学習・キャリア支援の改善に向けて、教員免許取得時のカリキュラム改善や部門別採用などを通じ、専門知識をもった教員の育成に努めます 。

201. 障がい児がライフステージを通じて一貫した療育支援を受けられるよう、療育 (発達支援 )施設の拡充など地域における療育支援体制を構築します。

子育て・保育

(3)特別支援

212. 医療的ケア児について、看護師らを車両に同乗させる通学支援の拡充や医療的ケア児対応型の保育園の増設など、当事者とその家族への支援を促進します。

社会政策(多様性)

(2)障がい者支援

236. 分身ロボットなどのテクノロジー開発や、超短時間雇用の導入等の規制緩和を通じ、身体・知的・精神の障がい種別にとらわれない障がい者雇用率の向上を推進します。

237. ポストコロナ時代における働き方に鑑み、健常者のみならず障がい者就労についても通所だけでなくテレワーク(在宅就労)で行えるよう、就労系福祉サービスを活用できる制度とICT環境を整備します。

238. 長時間の介助を受けられる「重度訪問介護」のサービスについては、経済活動中にも利用可能にする等、重度障がい者が活躍できる環境を整備します。

239. 障がい者の社会参加に必要な情報アクセスやコミュニケーション手段の保障、障がい者の社会参加に必要な情報アクセスやコミュニケーション手段の保障、デジタル・ディバイド(情報格差)解消のため、行政サービスを中心として情報保障の充実化を図ります。また、手話を言語として定める手話言語法を制定します。

(3)生活安全・消費者保護

242. 二次被害の防止、求償権付の賠償金の一部立て替えなど、犯罪に苦しむ被害者への支援の強化を推進します。同時に、触法障がい者を含む触法者が社会復帰をする更生支援に取り組みます 。


過去の公約では、記載がないか、「障害者を納税者に」「就労と雇用の環境整備」などの一行程度だった維新。一気にボリュームを増やしてきました。

維新の公約で「医療的ケア児の通学支援」「重度訪問介護の経済活動中の利用」「手話言語法」なんて、福祉関係者がむしろ戸惑います。一定の勢力になると、どんな政党に対してでもちゃんと声を届けに行く人がいるのでしょうね。

それでも、分身ロボットや超短時間雇用、ICTなど、障害者の「就労」を重視している印象はやはりあります。これは障害者への労働力としての評価なのか、就労を通じた自己実現の支援なのか。働くことの支援ばかりに偏ると、障害者の中での選別が進みかねません。視界にいる「障害者」はまだ限られていそうです。

 

国民民主党
政策パンフレット

「人づくり」こそ国づくり

子どもたちの心を育むインクルーシブ教育

○障がい、ヤングケアラー、不登校、引きこもり、外国ルーツ、性的マイノリティなどの子どもが互いを理解し、共に学べる環境をつくります。

■保育の受け皿の整備・待機児童解消

待機児童の解消のために、保育園と放課後児童クラブを積極的に増やします。全ての保育士等、学童保育の職員の賃金を引き上げます。病児・病後児保育、障がい児や医療的ケア児の保育など多様な保育を充実させます。子どもたちを性被害から守るための法整備を進めます。

障がい者・難病患者政策

障がい者・難病患者が住み慣れた地域で安心して自立した生活が送れるよう、「障害者差別解消法」の実効性のある運用をめざします。障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学び、働く「インクルーシブ教育・雇用」を推進します。さらに、既存の発想にとらわれない新たな社会参加・就労機会の場を確保します。
視覚障がい者などの自己選択と自己決定が実現できる社会環境を整備するため、手話言語法、情報コミュニケーション法を制定します。

■総合合算制度の創設

医療・介護・障害福祉等にかかる自己負担の合計額に上限を設ける「総合合算制度」を創設します。


前回の公約がそのまま立憲民主党に移ったことは先述しましたが、それで国民民主党の公約がどうなったかというと、前回の立憲民主党の公約に似てきました。まるで、公約を「交換」したかのようです。

「インクルーシブ教育」の推進や「差別解消法」の運用は、前回の政策パンフレットにも記載されている重要項目でした。しかし、それ以外の「手話言語法と情報コミュニケーション法」「総合合算制度」は、前回の立憲民主党の公約の中心にあったものです(今回も立憲の公約に含まれてはいます)。「総合合算制度」は民進党希望の党、から引き継がれており、公約のボリュームに関わらず、中心に据えるべきことになっているのでしょう。

社会民主党
2021年 重点政策

5.多様性に富む福祉社会の実現と差別の根絶

19)実効性のある包括的差別禁止法をつくる

 異なる立場にある人を軽んじ貶めるハラスメントやヘイトスピーチ(憎悪表現)が横行しています。人間関係が希薄し人と人のつながりやコミュニティの重要性が叫ばれるなか、性別や国籍、民族など、あらゆる差異を問わず誰もが等しく権利を保障され、人間らしく暮らせる社会づくりが求められています。

 2016年には「障害者差別解消法」(16年4月)や「ヘイトスピーチ解消法」(16年6月施行)、「部落差別解消法」(16年12月施行)の三法が施行され、障害を理由にした差別、ヘイトスピーチ、部落差別が禁止されるなど、大きな前進がありました。

2019年には「アイヌ施策推進法」も施行されました。しかし、いずれも啓発や教育を中心とする理念法にとどまっており、限界があると指摘されています。他にも性的マイノリティや移住者など様々な差別についての立法活動も続いていますが、差別を廃絶するための実効性をどのように確保するかが課題です。

 社民党は、政府から独立した実効性のある人権救済機関を設ける包括的な差別禁止法の制定を提案してきました。いかなる差別も許さない共生の社会づくりのため、社民党は全力で取り組む決意です。

23)移動の権利の保障

 地方の過疎化、各鉄道事業者の経営合理化によって無人駅が増えています。総駅数に占める無人駅の割合は2019年度には48.2%(9,465駅中4,564駅)です。また利用者の少ない路線の廃止が地域住民の生活を脅かしています。

 国鉄から公共交通としての鉄道を引き継いだJRについて、移動の権利保障、安全性や利便性の向上、公共の福祉の観点からチェックし、社会的責任を果たさせます。

 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー法)の実効性を高め、地方地域のバリアフリー化の推進、バリアフリー車両開発の財政支援、現場での人員配置の強化、可動式ホーム柵やホームドアの設置促進、駅内と駅をつなぐ道路の階段や段差の解消を推進します。交通政策基本法に移動の権利を明記させます。地域住民、そして高齢者、障がい者、子どもなど、「交通弱者」となりやすい人びとの意見を交通政策に反映させます。


社民党は過去の公約で「障がい者施策」という項目を立てていましたが、差別禁止と移動の権利に絞り込んで、より大きな文脈の中に置きなおしてきた印象です。

同じような傾向は社会民主党に限っていません。一般化できるテーマについては「多様性」「共生社会」「インクルーシブ」など大きな理想の中で説明するのがトレンドになってきたのだろうと思います。

子ども、高齢者、女性、性的マイノリティ、外国人など、立場は違えどもいっしょに声をあげられる部分はあります。選挙に限らず、この戦術が多様な「マイノリティ」の連帯へとつながっていくのかどうか、ですね。

れいわ新鮮組
マニフェスト「れいわニューディール」

子ども・教育政策

1 子どもと保護者が今を生きることを大事に

○親族の介護を担っている「ヤングケアラー」に必要なサポートを提供する。

○インクルーシブ教育を推進し、障がいの有無や、民族性、性自認などの違いがあることが、子どもたち相互にとっての利点と思えるような学校づくりをめざす。

3 子どもをはぐくむ人と教育に、お金を

学校教員が1人1人の子どもに向き合い、インクルーシブ教育を推進するために、教員の数を大幅に増加させ、一層の少人数学級をめざす。また、成果主義や査定給を禁止する。教員の多忙・長時間労働を解消し、教員が本来業務に専念できるようにするために正規教員、スクールソーシャルワーカー、スクールサポーター、部活指導員等を増員します。教員の長時間労働の緩和、少人数学級が実現できる体制を整えます。
学校教員が1人1人の子どもに向き合い、インクルーシブ教育を推進するために、教員の数を大幅に増加させ、最終的に20人以下学級を目指し、短期的には学級編成の基準を小学校は25人、中学校は30人以下(OECD平均並み)の少人数学級の実現を掲げます。

共生社会の礎として、どんな障害があっても、医療的ケアが必要であっても、分け隔てられることなく地域の普通学級で共に学ぶインクルーシブ教育に転換します。

5 障害の有無に関わらず、分け隔てられることなく共に学ぶフルインクルーシブ教育を目指します

これまでの教育においては、障害児には就学猶予や免除を行い、その後1979年の養護学校義務化によって、障害児と健常児を分ける教育を国は推し進めてきました。

現在、文部科学省が進めている「インクルーシブ教育システム」は、特別支援学校、地域の学校の特別支援学級・普通学級、通級指導に障害児を振り分ける教育になっています。また、普通学校に入学できたとしても、特別支援学級と普通学級に分けられ、障害児と健常児が一緒に学んだり、遊んだりしながらお互いを知る機会が奪われてしまい、一緒には生きづらい社会になってしまっているのです。

障害の有無に関わらず、分け隔てられることなく共に学ぶフルインクルーシブ教育を目指して、下記の政策に取り組みます。

①:重い障害があっても、医療的ケアが必要であっても、障害のない子と共に地域の普通学級で、多様性を認め合い共に学ぶインクルーシブ教育に転換します。そのために、校舎のバリアフリー化等の環境整備、授業や学校活動における合理的配慮の提供、教員の加配(増員)、介助員や看護師配置を進め、また、重度訪問介護や移動支援などの福祉サービスの活用を可能にします。

②:就学前からインクルーシブ保育・幼児教育を推進します。特に医療的ケアの必要な子への支援の拡充を進めます。保育士・教員の加配、看護師配置等、環境整備等への支援を進めます。

③:小学校就学の前年の秋に行われる就学児健康診断(就健)では、障害がある子どものみが就学相談に回され、就学先を教育委員会が決定する流れに載せられます。しかし、就健は自治体に実施義務があるだけで、本人に受診義務があるわけではありません。就健も就学相談も本人・保護者にとって義務ではないことを行政から保護者に周知させます。

④:就学相談では保護者の意見が聴取されることになっていますが、本人・保護者の希望に沿わない就学先が強要されている現状があります。本人・保護者の希望を尊重した就学先決定を区市町村に徹底していきます。

⑤:本来、どの子も地域の学校に通う権利があります。障害児の就学先を教育委員会が判断・決定する現在の就学先決定の仕組みを根本的に変え、どの子も校区の学校に入学できるようにします。具体的には、現在一部の自治体で行われているように、来年度の就学予定者全員に、就健のお知らせとともに校区の学校への就学通知を送付し、地域の普通学校で学ぶことを原則とします。その上で、手話・点字等の言語・文化的ニーズや固有のニーズを満たす必要がある場合は、私立学校・民族学校等を希望する子の場合と同様に、学籍変更の手続きを行える仕組みにしていきます。

⑥:普通学校へ入学した後も、学年進級ごとに継続相談が求められ、特別支援学級・学校、あるいは通級指導のお誘いが続くことがあります。本人・保護者が望まない相談はなくして、安心して障害のある子もない子も同じ学級で学べる教育を進めます。

⑦:障害児と健常児が同じ学校に通い、共に学べる環境づくりのために、必要な設備を整えたり、授業や試験の際の合理的配慮の提供を徹底し、好事例を収集・共有し、学校現場での取組みを支援します。

⑧:医療的なケアの必要な障害児には、学校への看護師等医療的ケアのできる人材配置や加配、重度訪問介護の利用を可能にするなどの支援を進め、親の付き添いをなくします。

⑨:特別支援学校在学の児童・生徒が本来就学するはずだった居住地(校区)の学校へ転校を希望する場合、スムーズに実現できるように支援していきます。

⑩:どんなに重い障害があっても、教育を受ける権利を奪われない社会の実現に向け、高校受検時、定員内不合格を出さないよう各教育委員会に指導し、定員内であれば、原則全員を合格とするように制度を改正します。希望者全入に向けて高校の統廃合を見直します。高校、大学等高等教育機関への入学試験、入学後の評価の基準の見直しを含む合理的配慮を充実させていきます。

労働政策

障がい者の就業をいっそう促進する。

 

障害者政策
https://reiwa-shinsengumi.com/reiwa_newdeal/newdeal2021_10/

れいわ新鮮組は障害をもつ国会議員が2人もいるだけに関連部分のボリュームが多いな、と思いながら教育政策を読んでいくと、さらに「障害者政策」は別にまとめられていました。それはボリュームが多すぎるため、リンクを貼らせてもらいます。

教育に関しては「フルインクルーシブ」を主張しているので、どんな障害があっても「普通学級」原則です。「希望を尊重する」と言いつつ、内容的には「障害児は望まない支援学級や支援学校への就学をさせられている」という考え方が前提となっており、特別支援学校などに進むなら「私立学校や民族学校に行くのと同じ手続きをすべき」という考え方です。同じインクルーシブ教育でも、たとえば民主党は「希望する子どもたちが障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学ぶ」という書き方ですから、何を「当たり前」と考えるのかに違いがあります。

リンク先の障害者政策は膨大ですが、新規の施設入所は認めずに地域サービスで支えていくとか、「障害者のみを集めて訓練する仕組みでなく、障害者も健常者と同様に、最低賃金を保障し、社会的協同組合、社会的企業のような第3の働き方への支援を法制度化」とか、他の野党と比べてもかなり個性は強いです。

そして「重度訪問介護」をどんなことにも使えるシームレスな制度(パーソナルアシスタンス)にすると言っています。動機は違えども、対極にある「維新」と「れいわ」がどちらも重視することになった「重度訪問介護重度の身体障害をもつ方たちの自立生活を支えてきた仕組みを拡充させようとする動きが強まっているわけですが、福祉サービスのメニューが整えられてきた中でも、政治的にはずっと冷遇が続いてきた制度です。24時間365日の支援を可能にするものですから、拡充には国や自治体の強い抵抗があります。いったいどこへ向かっていくのでしょうか。

NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で


記載なし

以上です。いろいろ評価はあるでしょうが、10年前と比べたらものすごく「障害者」への言及は増えています。たぶん良いことです。

大変なので、もう次回からはTwitterでつぶやく程度にするかもしれません…。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。