泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

聞きたくないが、聞かねばならない

 他事業所についての情報が入りまくる。同じ事業所について良い情報も悪い情報も入りまくる。悪い情報をたくさん聞いていたとしても「通うことに決めました」と保護者から言われたとき、何を伝えることもできない。だんだん自分の耳を塞ぎたくなってくるが、そうもいかない。
 同じ事業所の支援であっても保護者からの評価が割れるのは、求めているものが違うからなのか、収集できている情報量に差があるのか、事業所の質を見極める目が違うのか。「完全送迎」を売りにしているところなど、子どもが過ごす様子を保護者はほとんど見ることもない。保護者が利用を決める基準はもっぱら「○○ちゃんのところが行っているから」。
 「そこはヘルパーの質が低く、今月から利用を大きく減らしたところを知っている」「そこは障害児の支援経験があるスタッフが実はひとりもいない」「そこは他校の子どもが行きたがらなくなって、また別の事業所を探している」…すべて飲み込む。次々と問題を起こしたようなところはさすがに新規利用が抑えられる気もするけど、そうでなければ結局使われるし、とにかく「家ではないどこか」に子どもを通わせることが最優先事項である保護者も多い。
 数はたくさんできて、選べるようになったと言っても、一定の質のところはすぐに埋まる。5番手6番手の事業所でもそのうち利用はいっぱいになる。質を高めるための「競争」なんて起こらない。週1の習い事感覚の利用で定員を埋めて、週6で利用が必要な母子家庭が出てきたって、知ったことじゃない「人気の」事業所。「うちは週1〜2日までの利用しか受けない」という事業所3〜4か所を日替わりで通う子ども。
 こんなことで、本当に大変なところに十分な資源を集中させることや各々の事業所が支援の質を高めていくことができるのだろうか。