泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

縦にも横にも割れている

 詳細を晒してやりたいけれど、我慢して書ける範囲で書く。
 新規の事業所の立ち上げについて、自前で物件を購入するなり借りるなりして使う場所であるならば、もうとっくの昔に事業所の指定がもらえていた。ところが行政の所有している施設を借りてやろうとしたがために、福祉のまちづくり条例に引っかかった。
 現時点で、すでに施設は活用している。市町村からの委託事業として。それは何も問題にならない。にもかかわらず、国の制度に乗っ取った事業所の指定を受けようとするとダメだと言われる。そこに通う子どもたちにとって問題があるというならば、今の時点でも「使うな」と言われなければ筋が通らない。
 縦割り行政の中でさらに話は複雑になる。都道府県福祉行政的には指定要件を満たしており、OKなのである。ところが都道府県建築行政的にダメなので、事業所指定ができない。ここで、都道府県建築行政からの求めに対して、もともとの施設を管轄している市町村子育て支援行政が改修を求められることになる。
 うちが借りるわけなので「お前のとこで金を出せ」と言われるかと思いきや、「行政の持ち物なので、そういう話にはならない」らしい。うちでは何もできず、基本的に市町村子育て支援行政の対応を待つことになった。それから、もう数か月。具体的な進展は見られない。どうやら建築行政から求められている改修は、予算的にほとんど不可能なレベルらしい。
 都道府県福祉行政はなんとかして年度内に指定をおろさなければと心配しているが、都道府県建築行政ともやりとりしづらく、市町村子育て支援行政とも関係が薄いため、市町村福祉行政に「あの件、どうなってる?」と探りを入れる(「子育て支援」と「福祉」は部署が別なのである)。市町村福祉行政は「どうなってる?」と市町村子育て支援行政やうちの法人に尋ねて、都道府県福祉行政に返す。伝言ゲーム。
 どうやら問題視されているのは、施設の「用途変更」らしく、用途を変更しないならば今のままでも改修は求められないらしい。そもそも数年前まで、福祉目的で使われていた施設である。昔からずっと使い続けていたところは条件を満たさなくても問題視しないが、用途を変えるならば条件を満たさないと認めない、というのはどう合理的に説明できるのだろうか。
 さらに施設の「用途」区分が大ざっぱなため、いったい何をもって「用途が変わった」とするのかに多義的な解釈が可能になっている。行政文書におなじみの「『〜など』に含まれているのは何か」バトルの勃発。市町村子育て支援行政いわく「都道府県建築行政の担当者の頭が固い」。
 そんなわけで、不特定多数の者が使うわけでもなく、そこに通う者にとって役立てればいい、という「福祉」目的の事業所が「福祉のまちづくり」によって妨害される、というくだらない事態。守られるのは、通所者でも地域住民でもなく、都道府県建築行政。他に誰もいない。