泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

移送サービスをめぐるつぶやき

・福祉的な移送サービスというのは、車の取得や維持にかかる費用を考えると、経営的にはまったく割に合わない。受け取っていい対価というのも、勝手には決められない。地域に運営協議会というのがあって、そこで承認を得なければいけない。
・ひとまず承認を得られた額で利用者から1回いくらというお金を受け取ってきたが、行政からは複数名を乗せるならば「割り勘」にしろ的なことを言われる。言われた通りにすると、当然ながら、収入は4分の1とかになる。今はまだ「覚悟しとけよ」と言われている段階。たぶん次回の運営協議会では、「そうしないなら、運行しちゃダメ」となる。運営協議会にはタクシー事業者も入っているが、たぶん頑固なのはタクシー事業者よりも行政。一度は認めておきながら「国で決められたルールだ」と。
・他の通所系の事業者とは違い、学校から事業所まで子どもたちを乗せて運ぶのであり、1日に何度も運行することがないのだから、と主張するつもりだが、たぶん杓子定規に却下される。何人子どもを乗せても同じ額という奇妙さ。タクシーがそうだから、という理由で。毎日、入ってくるのは初乗り運賃程度。それで車を購入、維持、管理しろと。ドライバーの人件費も払えと。
・タクシーは毎日、学校に子どもたちを迎えに行って、事業所まで連れてきてくれんのか。車移動が感覚的に苦手で泣きまくる子も、車に乗る順番に予告が必要な子もいる。乗る子どもの顔ぶれは毎回変わるのだから、座る場所だって、単純には決められない。トラブルが起これば、その対応だってしなければいけない。
・他の移送サービス事業者やタクシー事業者との間で一面的な「公平」を押しつけられているわけだが、もっと他のところに「不公平」が山ほどある。
・子どもたちの支援をしている事業所の中でも「児童デイサービス」事業所ならば、それは「児童デイサービスの『送迎』」となり、「送迎加算」として、一人あたりいくらという報酬が入る。ドライバーの資格要件も全く問われない。うちは児童デイではないので、ドライバーの要件も問われる。運転するスタッフは全員が2日間の講習を受講済み。地元では全く講習がなく、わざわざ隣の県で受講。
・ついでに言うと、この近隣ではいわゆる「白タク営業」が横行しており、放課後の学校前に車をずらっと並べている事業所の半分ぐらいは「ガソリン代」として、たぶんガソリン代の10倍以上ぐらいの金額を利用者に請求している。それは行政から全くおとがめなし。実態すら知られていない。知られていないものが、責められるはずがない。しかし、行政に対してそのことを指摘しても、半笑いをされて、終わるだけである。ルールの中の規制にはうるさいが、はじめからルールを外れたところにある面倒なことには関わろうとしない。
・厳しい状況に立たされながら、車をもう1台増やさなければ、子どもたちのニーズに応じきれずに、リース料金や自動車保険代に頭を抱える日々。リース料はどうにか行政から補助してもらえるかもしれない。が、その補助額は「先例」に倣う、とのこと。大法人は所有台数が多いので、自動車保険料が極端に安い。そんなことは考慮されない。
・ちなみに「行政」と書いてきたが、ここには「福祉行政」と「運輸行政」が含まれている。「国」も「都道府県」も「市町村」も混ざっている。
・結論1。真面目にやる者がバカをみる。
・結論2。地域ごとで個別の事情に応じて協議をしよう、という行政の集まりは予定調和の茶番ばかり。
・結論3。縦割り行政の中に収まっているほうが楽であり、得でもある。
・ひとつも前向きな結論は引き出せなかった。むなしい。