泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

最短ルート

 既にあちこちで絶賛の声が上がっているので、評価についてはもうあんまり書くことがない。柔軟さもわかりやすさもハンパない。そして、文章が上手い(ここまで読みやすく書けるスキルはすごい)。
そらパパさん評
http://soramame-shiki.seesaa.net/article/227351121.html
こうままさん評
http://koumama.seesaa.net/article/228517981.html
 療育や教育において目標を達成するために「ボトムアップ」「トップダウン」というふたつの方法を提示して、それぞれを対置するのではなく、ボトムアップからトップダウンへと年齢に応じてゆるやかな切り替えを図っていく、という説明が非常に明快。
 「療育」「教育」が意識されているが、「福祉的支援」としてイメージされるものの中でも「何かができるようになること」が目指される機会は多い(とりわけ知的障害や発達障害の子どもに関わる場合は)。それゆえに「福祉サービス」の事業所スタッフにとっても非常に参考になる。「社会福祉学」と「障害福祉サービス」に少し関わった自分の立場からすると「もっと視野を広げなければ支援者として役に立たない」と改めて言われた気分である。
 想像するに、多くの「福祉サービス事業所」はこの本で言うところの「トップダウン」のほうに共感しやすいだろう。「発達」に関する理解に自信がないと、環境への働きかけを含めて目標への「最短ルート」を見つけていくほうに接近していく。福祉的支援は年齢の上昇とともに増えていくことが多いので、大部分の支援者は「最短ルートを見つけること」を積極的な「強み」として主張できるぐらいになれるのならば、それもよいのかもしれない。それで済まされないのは、幼児や低学年の子どもたちとも多く関わる、自分たちのような者である。勉強勉強。