泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

「障害」が笑われているのか?

 ネット上で放映の前後から話題になっているが、視聴率的には0.6%だったらしい例の番組。
笑っていいかも!?
http://www.nhk.or.jp/kira/post/info_101204.html
 番組内容の紹介記事もなんだか大人気である。
タブーを笑え! 笑う障害者たち
http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/
 自分は特に見ようと予定していたわけではないのだが、たまたまチャンネルを合わせて、そのままほとんど全部見た。
 脳性マヒブラザーズは以前から知っていて、ツッコミのタイミングもいいし、やっぱり頭ひとつ抜け出ているな、と思った(以前に見たのもこのネタだったので、もっとネタは増やしてほしいが)。あとは2時間の中でそんなに笑うところなかった。NHKがバラエティ的な編集に慣れていないのもあると思う。民放が演出・編集したら、もっと面白く見せられたかもしれない。あと、ゲストの鈴木おさむカンニング竹山は、人柄とかプロ意識が見られて、いいキャスティングだったと思う。
 感想、終わり。
 と、この記事を終えたら「お前もっと深く考えろ」とか叱られそうだけれど、日常的に障害者と関わりの多い人の感想って、こんなもんじゃないだろうか。だって、「障害」をネタに笑いをとる人なんて、さほど珍しくない。
 「自虐ネタ」が差別を助長するか否か、みたいな議論もあるようだが、重要なのは「障害」が文脈によっては「笑い」に変えられるし「笑っていい」という場合だってありうる、ということであって、いつでも「障害」を笑っていい、ということにはならない。クイズ番組で「おバカタレント」の面白い誤答が笑われたり、「リアクション芸人」が危険な目に遭わされる様子が笑われたりするからといって、それが勉強のできない者を笑い者にすることや、いじめを許容することには直結しない。番組中で当事者から「笑いのTPO」なんて言葉も出ていたけれど、笑いの送り手も受け手もその文脈に敏感たるべし、ということだろう。
 誤解をおそれずに言えば、「障害」は「面白い」。全く専門に勉強したことなどないが、「笑い」というのは少なからず、予期されることとの「ズレ」が生み出すものなのだろうと思う。その意味で、さすがに番組には出てこなかったが、自分たちが日々関わる「知的障害者」「自閉症」なんて、とても面白い。支援者はたくさん笑わされる。それは「障害」を笑っているのではない。「障害」が一般的な常識や社会通念をぶち壊していく様を面白がっているのである(もちろん中には笑っていられないものもある)。
 知的障害の場合は、「芸」として笑いをとるというより、むしろ本人は大真面目だったりするので、番組に出ていた「障害者芸人」的な人たちの芸とは違い、「笑うのは不謹慎だ」と言われる可能性はある。何を笑っているのか、という対象が誤解されないように、自分たち支援者は「笑う」必要があるのかもしれない。街中に出ていく支援者は、特に。