泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

これって何かおかしくない?

「総括」の(6)は、たぶん次の更新で。それよりもこれ。
障害者自立へ給与アップ 販路拡大、付加価値PR
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091027-00000520-san-soci
 途中まではともかくとして、

■生産ライン請け負いで成果
 一方で、福祉ベンチャーパートナーズ代表取締役の大塚由紀子さんは「売り上げを伸ばしても工賃の上げ幅は小幅にとどまるが、工賃を一気に増やす方法がある」という。
 作業所では物作りを行い、できた品々を外で販売するケースが主流だが、そうではなく、作業所の外に出ることだという。高収益を出している企業はあり、生産ラインを丸ごと請け負えば時給を数百円アップできるという。
 三重県伊賀市の作業所「びいはいぶ」では、地元の美容室向けにヘアケア用品を作るメーカーの製造ラインの一部を請け負っている。作業はシール張りや検品などだ。
 施設長の奥西利江さんによると、交通費込みで時給500円。毎日6時間働き、月給は6万円に上る。収入が増えたことでグループホームに入り、自立できた利用者もいるという。
 奥西さんは「企業が負担する人件費も低くなり、障害者の給与も増え、双方にメリットがあった。こうしたやり方が全国に広がれば障害者の自立につながるはずだ」と話している。

 この場合、最低賃金とかって、どうなるのか。どなたか教えてほしい(自分がこのあたりの事情を正確に理解していない可能性は十分にある)。作業所との請負契約で個々人と雇用契約を結んでいるわけでないから、その作業所から「利用者」にどう払われるのかは別に関係なし、ってこと? そうすると、これからあちこちの企業があちこちの通所施設に「請負でぜひ」ってもちかけて、最低賃金以下でも働かせられるからラッキーって話になるの?(むろん既にほとんどの作業所で下請け等の仕事をして最低賃金なんて払えてないという例ばっかりなんだから同じことじゃないかっていう意見はあるだろうけれども、この場合は「生産ライン」って言っているのだから、最低賃金を守られた「健常者」と同じ工場内での就労だったりするんだろう?)
 労働の問題については素人に近い者の印象としては、安い人件費を求めて発展途上国に工場移転していくのと、全く同じ構図なんじゃないのだろうか。その様々な功罪を含めて。いや生産性の違いはあるから、同じではないか。なんだかイヤな感じ。あああ。

追記:プロである濱口桂一郎さんが解説してくださいました。ありがとうございます。すっきりです。もちろん「じゃあ、障害をもつ人びとが労働法を守りつつ、しっかり稼ぐにはどうしたらいいのか」というのは難しい問題であり続けますが。
労働法は契約ではなく実態で判断するのが原則(EU労働法政策雑記帳)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-27ca.html

ちなみに、最低賃金法における障害者に関する規定も見つけました。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/05/s0520-10e.html
これもけっこう多義的に読めてしまいそうですが・・・。