泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

また苦境

 児童デイ2型で絶好調のA法人が隣の自治体B市と手を組み、学校を借りて放課後の預かりをしようと計画開始、の連絡。日中一時支援なのか児童デイ2型なのかは不明。いずれにせよ、このまま進むと、学校は「どうぞどうぞ」の姿勢。
 A法人は児童デイでものすごく儲かっているが、B市の東部が主な対象エリア(合併があったのだ)。B市の西部は実質的に放課後サービスの空白地帯。ずいぶん離れた地域の事業所を使わないといけなくなっているので、ここまではそんなに悪い話ではない(細かく見ていくと、ここまでにも疑問はたくさんあるけれど)。
 ただ、学校は「他の市町村もいっしょじゃないと、ひとつの市だけというのは都合がよくない」と言う。こうして、地元自治体C町やうちの法人も巻き込まれることになる。
 予想される流れ。C町も「学校でやれば家賃や移送コストが抑えられるから、報酬単価も低いままで済む。うちもやろう」と言い出す→儲かっていないうちの法人は現在子どもたちを放課後預っている場所以外でもうひとつ運営する力はない→「うちではできない」と断らざるを得ない→「じゃあ、うちの自治体もその児童デイで儲かっている法人にまかせよう」となる→学校でやっているA法人の事業所に預けてしまうのが保護者にとってみれば一番楽だし、一番負担も少なく済むので利用が集中→日中一時支援単価の低さから利用者に協力金まで別途いただいているうちの法人事業所の利用が激減、ガイドヘルプの利用者も「行き先考えるのめんどくさいし」とA法人に→うちの法人崩壊。
 そんな最悪のシナリオを思い描きながら、社会資源がないところに新しいものが生まれることを単純に喜べない悲しさと、こんなふうに他事業で儲かっているところをスタンダードにされて単価が抑えられたままの日中一時支援事業への嘆きと、こうした動きが他地域や他事業所にどう波及するかに慎重でないA法人やB市への怒りと、最悪の事態を想定して自法人の今後を考えねばならない焦りが交錯している(ちなみに、こうした「地域全体」の発展をどう考えるべきか、という問題は連載中の「総括」(6)で書く予定だった)。先週末から、いつでもどこでも頭の中はこのことばかり。
 ひとつだけ気になることがある。養護学校(特別支援学校)を借りて、放課後の支援を行う形は全国的にもかなりの数が既に見られる。ハード面ではそりゃ整っているし、子どもの家族にも歓迎されやすい(自分はなんで「朝から晩まで学校にいなきゃならないんだ」と思っているが)。
 すでに措置の時代ではなく、今の障害福祉サービスはすべての事業所が「競争」にさらされる可能性がある。あくまでも可能性の話であって、社会資源がないところでは現実には行政・民間いっしょになって資源創出にはげまねばならない。それは当然のこと。
 しかし、社会資源が既にあるところにとってみれば、特定の事業所だけが行政から場所の提供を無償で受けられるというのはものすごく不公平な話ではないか。広い学校区域をもち、そのエリア内には多数の障害福祉サービス事業所をもつ養護学校という場所について、どのような根拠でそれが可能になっているのか、を知りたい。どなたかご存知の方あれば、教えてください。よろしくお願いします。