壊れゆく「心理」イメージ
- 作者: 道又爾
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2009/03/19
- メディア: 単行本
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むかし、この世界に足をつっこみはじめたときに「心理職」が子どもに関与することがあるのを聞き、いったい何をするのだろうと考えたりもした。今となっては何の不自然さもない。抽象的な議論についていけないまま「結局、福祉って何なの?」と思いながら福祉系学部を卒業してしまった者よりも、しっかりと現代的な心理学の勉強をしてきた者のほうが障害福祉においてもよっぽどいい仕事をするんじゃないかという気さえする。自分たちの仕事において「社会的なもの」の重要性はいささかも揺らがないが、知的障害や発達障害の理解において、精神医学や心理学を無視するのはどう考えても無理だ。荒っぽい言い方だが、ある限られた側面において医学モデルと社会モデルは遠くない。
哲学や脳科学の知見をどんどん貪欲に取り入れて発展していくあたりも、楽しく読める本。終盤でハイデッガーとギブソンがつながり、トドメは「仏教」。