泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

[障害者支援]「障害児支援の見直しに関する検討会報告書」を読んでみた(2)

障害児支援の見直しに関する検討会報告書
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/dl/s0722-5a.pdf
学齢期編。

3.学齢期・青年期の支援策
(1)放課後や夏休み等における居場所の確保
○ 学齢期になると、障害児の日中活動は学校が中心となるが、放課後や夏休み等における居場所の確保策の充実を求める声が多い。障害児の保護者の仕事と家庭の両立を進めるという観点や、レスパイト(一時的休息)の支援を行うという観点からも、重要な課題となっている。
○ 現在の支援策としては、市町村の地域生活支援事業として実施されている日中一時支援事業と、当分の間の措置として認められている経過的な児童デイサービス事業がある。また、一般施策においては、安心・安全な児童の居場所の確保策である放課後子ども教室、概ね10歳未満の児童を対象とした留守家庭対策である放課後児童クラブ、及び児童館における障害児の受入れが実施されている。
○ 子どもにとっては、放課後や夏休み等の時間を合わせると、学校にいる時間や家庭にいる時間と同じ位になるなど、放課後や夏休み等の対応は重要なものであり、教育機関、一般の児童福祉施策、障害児福祉がそれぞれ連携して対応の強化を図っていくことが必要である。

 現状認識についての無難な記述なので、特にコメントすることもない。「居場所」という言い方にこだわらないのであれば、ガイドヘルプや行動援護もあるけれど。場所を作って「みんなまとめて安上がりに」という方向に誘導されることには気をつけるべきかもしれない。ガイドヘルプや行動援護はきわめて個別性を尊重した支援ができるという点をもっと評価されてもいいと思う。
 ここで「健常児」との比較がなされ、「『健常児』ですら、学童保育所という場所の中で過ごしているのだから、障害児も同じように特定の場所の中で大人しくしておくべきだ」と言われるとしたら、こっちは「なんで『健常児』に合わせなきゃならないんだ」と言いたいし、「こっちは小1から高3までいるんだぞ」と言いたいし、「同じ環境でも、楽しく享受できるものの質や量が違うじゃないか」と言いたい。

○ まず、学齢期における障害児の支援策として行われている日中一時支援事業や経過的な児童デイサービス事業については、放課後や夏休み等における居場所の確保が求められていること、また、中学時や高校時に活用できる一般施策がほとんどないことを踏まえれば、充実を図っていくことが必要と考えられる。
 このため、これらの事業について見直しを行い、単なる居場所としてだけではなく、子どもの発達に必要な訓練や指導など療育的な事業を実施するものについては、放課後型のデイサービスとして、新たな枠組みで事業を実施していくことを検討していくべきである。これに当たらないものについても、日中一時支援事業などの活用を図りつつ、放課後等の時間を活用して就労の体験活動を行うなど市町村の実情に応じた創意工夫した取組が引き続き実施されるべきと考えられる。

 ここの論理がよくわからない。長期休暇や放課後の居場所がないから、充実を図っていく、まではいい。しかし、そこから急に「見直しが必要」となる。もちろん見直されるべきところはあって、それは第一に「現状として事業所や支援者の不足から、サービスが利用できない子どもがたくさんいること」であると思うのだが、その点についてはまったく触れることなく、突然「放課後型のデイサービスとして療育を」とか「就労の体験活動を」とか出てくる。居場所の確保の話から、学齢期の療育や将来の就労に向けての話にすりかわっている(そもそも「療育的」って何のことなのか、具体的に説明してほしい)。単なる居場所づくりよりも、こうした大義名分があったほうが予算をとってきやすいのかもしれないが、結局「居場所」は軽視されている気分になる。

○ また、一般施策である放課後児童クラブにおいても、年々障害児の受入れが拡大しているところである。今後は、専門的な対応を図っていくため、障害児の専門機関が放課後児童クラブ等についても巡回支援していくことが考えられる。

 これについては丁寧に書きたいので、今日はここまで。(3)につづく。この数ヶ月の自分の周囲のごたごたとも深く関係している話なのだ。