泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

総裁選、厚労相、1割負担

厚生労働省:9月8日付閣議後記者会見概要
http://www.mhlw.go.jp/kaiken/daijin/2006/09/k0908.html

(記者)
 先週末の自民党のブロック大会の中で、安倍官房長官が消費税率の引き上げよりも先に、終末期医療の見直しや介護の適正化を先行させて行うべきだという考え方を示されましたが、いわゆる社会保障費の今後の適正化と社会保障費の財源として消費税率の引き上げの関係について大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。
(大臣)
 年金というのは、法律で書いてあるわけだから待ったなしですよね。2兆5千億か2兆7千億円。これへの対応をどうお考えになっているのかというのは、逆にもし話をされたとしたら聞かなければならない話であろうと思います。それから、終末期医療というか、後期高齢者医療制度というのは、まさに再来年から新しい制度の枠組みが始まっていくわけですから、この議論というものは、まさに2年後の話になってしまいますよね、はっきり言って。新しい制度を作ってこうやったわけですから。それと今の年金の国庫負担を上げなければならない時期との、なかなかなずれがあって、社会保障制度を持続可能なものにしていくという切り口からすると、どういうふうに整合性をもたれるのかということについては、私どもの考え方と必ずしも一致しないと思います。それから、介護保険制度を昨年法改正をして、これから新たにスタートして、いろんな議論をしてきて、まず第一に、この間も発表させていただいたように、食費等に自己負担を入れた。1割負担を入れた。それによって随分退所者が多かったんではないかという質問を国会で随分いただきましたけれども、各県なり市からご報告をいただいたことを精査しますと、基本的にはそういうことはなかった。もっと言えば、所得の低い人たちについては、十分な措置をやりましたので、そうした動揺はなかった。かえってある程度所得がある人たちが他の選択をされたということはあったかもしれないということでございますから、介護保険制度自体は新しい枠組みの中で、そういう問題、すなわち一部負担が追い出しにつながるのではないかという野党の批判は、今数字を見ている限りそんなことはないとはっきり言えるんだろうと思います。しかしまさに、新しい枠組みの中でスタートしたところですから、しっかりこれを見ながら、やっていかなければならないなと思っております。それから、オランダの大臣と6月に来てもらって会談して、また今回も、健康保険制度について議論したんですけれども、やはり、オランダはオランダなりに改革をかなり踏み込んだというのは事実だけれども、我が国も今度、後期高齢者医療制度の中で、ある程度所得のあるお年寄りの方々には3割の自己負担を求めると。これは、ヨーロッパの国は正直言って、びっくりしていますよ。正直言って、日本はそこまで踏み込んだのかと。我々ヨーロッパ社会では、なかなか考えられないね。保険に入っていると、保険が適用されれば、あまり自己負担というものを我々の頭の中に今置いていなかった。それが、日本のように3割負担をしながら持続可能な制度にしていっているという日本側の努力というのは、かなり、こういうものを預かる立場からすれば高く評価されているなというように思っておりますので、これ以上の話を進めるという話は、なかなか諸外国と比較しても難しい話だなと思わざるを得ません。

 「これ以上の抑制・適正化は無茶だ」ということを言おうとするならば「いや、でも介護保険の自己負担増は問題ないんだけれどね」なんて弁解をわざわざ入れなきゃいいと思うのだが、やはりそうもいかないのだろうか。
 ちなみに、自己負担について。
負担増で施設退所49人 介護保険岩手日報
 http://www.iwate-np.co.jp/news/y2006/m03/d01/NippoNews_8.html

 介護保険制度改正で昨年10月から食費や居住費が施設入所者の自己負担となった影響について、県側は28日の県議会2月定例会一般質問で、負担増を理由に施設を退所したのが県内で49人に上ることを示した。(中略)
 赤羽卓朗保健福祉部長の答弁によると、昨年10月から今年1月末までの間に49人が退所した。内訳は特養施設2人、介護老人保健施設38人、療養型医療施設9人。施設入所者は計1万271人で約0.5%にあたる。退所者は特養施設に移ったり、自宅に戻るなどしたという。(後略)

介護保険法改正で負担増、29人が退所四国新聞
http://www.shikoku-np.co.jp/news/social/200607/20060709000071.htm

 介護保険法の改正を受け、昨年九月から今年三月末までの間、居住費と食費の自己負担増を理由に二十九人が施設を退所していたことが香川県のアンケート調査で明らかになった。うち、負担軽減措置のない施設利用者の退所が二十人と全体の七割を占め、退所後に居宅サービスを受けていないのが五人いることも分かった。
 アンケートは、県内すべての特別養護老人ホーム(特養)七十四施設と老人保健施設老健)四十六施設の計百二十施設(介護療養型医療施設を除く)を対象に五月時点で実施。全施設から回答があった。
 調査によると、負担増を理由に退所したのは十二施設の二十九人。老健が十一施設二十八人、特養が一施設一人だった。
 利用者別では、負担軽減措置のない「四段階」が二十人と最多。「三段階」が七人、「二段階」が二人と利用者負担が低くなるほど退所者は減少している。
 要介護別では、介護度の重い「要介護4」が九人、「要介護3」七人、「要介護2」五人などの順。退所後の行き先は、十二人が居宅サービス、十人が特養、二人が医療機関を利用。退所後に居宅サービスを受けていない五人は、▽家族が世話▽本人が拒否▽状態が改善―などが理由という。
 県長寿社会対策課は「低所得者には負担軽減措置などがあり、退所者は思ったより少なかった」と分析。今後もサービスを必要としている人が適切に受けられるよう市町や事業者と連携し、フォローするとしている。

 ネットで記事を探しても、この2件ぐらいしか見つからなかったので、実際のところ全国的にどのぐらいの状況になっているのかはわからない。深刻さはさほどないのかもしれない。それでも障害分野の今後のことを考えると「同じ1割だし、低所得者への減免があれば、自立支援法の負担も大丈夫なはず」「障害者ばかり負担がイヤだと言うのはおかしい」などと世間には理解されかねないので、今さらながら一応つっこんでおかないといけない。国の減免策では不十分と判断して独自の減免策を打ち立てる地方自治体が後を絶たないのは、障害分野の特徴だろう。高齢者と障害者の負担能力の違いがよくわかる。ほとんどYahooニュースの『自立と社会参加』からのリンクだけれど。
京都府、負担増分を助成 障害者自立支援法に対応
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060909-00000021-kyt-l26
障害者自立支援法 10月から負担軽減策 田辺に続き白浜など
http://www.agara.co.jp/DAILY/20060909/20060909_007.html
子育てや障害者の支援サービス負担 舞鶴市が軽減策発表
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060907-00000048-kyt-l26
福祉サービスの利用者負担 宝塚市が3年間軽減
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000104770.shtml
障害者自立支援法本格実施 神戸市が独自減免策
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000104778.shtml
障害者自立支援法:障害児施設の負担増分を助成−−大府市、入所者に /愛知
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060905-00000007-mailo-l23 
山形市が障害者支援の独自策を10月導入へ
http://yamagata-np.jp/kiji/200609/04/news05932.html
高知市が負担軽減策 障害者福祉サービス料
http://www.kochinews.co.jp/0609/060902headline01.htm
日田市:障害者自己負担、10月から軽減 /大分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060901-00000305-mailo-l44
障害者自立支援法:施設利用料の負担額、全額補助 可児市、10月から開始へ /岐阜
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060831-00000015-mailo-l21
障害者自立支援法習志野市が独自策 /千葉
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060830-00000105-mailo-l12
障害者の地域生活支援 利用者負担を原則5%に 上田市
http://www.shinmai.co.jp/news/20060829/KT060828ATI090006000022.htm
別府市:障害者自立支援、最大67%助成 軽減措置、大分市と同内容 /大分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060829-00000182-mailo-l44
障害者自立支援法:障害者に朗報 負担額一部助成−−高山市 /岐阜
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060829-00000015-mailo-l21
 いつだったかの会見で川崎大臣は「国としては十分なことをやっているから、あとは地方の勝手な努力(大意)」と言っていたはずだが、はたして今はどう考えているのだろうか。