泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

大先生

 ほんの少し読んだだけで、あまりに腹立たしい。

 第三に、支援費制度は障害格差を助長したことである。例えば障害者自身がサービスを選択でき、障害程度区分に基づき、例えば支援限度額の範囲で目一杯に使い、既得権の上乗せを狙う者と、従来とかく権利性を十分に主張できなかった知的障害者(ないし精神障害者のように支援費制度から排除されている者との格差は著しく増大したのである。(22ページ)

 根拠は? そんな実証データがどこにある。「既得権」の妥当性は問われたのか。保障されるべき権利を既得権と言うな。

 介護保険制度の運用では、①ケアワーカーの質の向上を図り、将来的には介護福祉士が担当、②質の高いケアマネジャーの育成、などの面が欠かせない。①に関しては、現在はホームヘルパー3級でも可能だが、ケアワーカーの質を保証するためには廃止したい。家庭介護やボランティアは3級を取ってほしいが、サービス提供者は2級以上とすべきである。看護界からみるとかなり甘く、将来的にはケアワーカーを介護福祉士取得者としたい。②は「ケアマネジャーの質で介護サービスの質が決まる」ので、ケアマネジャーの上級資格をつくるなど、質の高いケアマネジャーの育成が急務である。そして社会福祉士精神保健福祉士をもっと活用していくことが求められる。(30ページ)

 これが国立社会保障・人口問題研究所所長、社会保障審議会障害者部会部会長、の見識である。この大先生に待ったをかけない限り、今後も審議会の議論はいっそう形骸化する。すべては規定路線に沿った結論にしか導かれない。御用学者とは、こういう研究者のことを言う。