泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

マニフェスト

 マニフェストが出揃ったようなので、障害者支援の関連部分を見てみよう。
 まずは、公明党

公明党

(5)障害者福祉・共生社会めざして

発達障害者支援法の施行を踏まえ、早期発見・早期療育・教育・就労等、地域における一貫した支援体制の構築を図るとともに、発達障害支援センターを全都道府県に整備します。

地域生活における障害者の生活基盤となるグループホームや福祉ホームを2007年度末までに6.5万人分の整備を進めます。小規模作業所の新事業体系への移行支援を行い、地域における作業活動の場などの受け皿作りを推進します。

福祉的雇用から一般就労への移行推進のため、トライアル雇用、職場適応援護者(ジョブコーチ)の拡充により、2008年度に行われる障害者雇用実態調査において、雇用障害者数を60万人にすることをめざします。

 「新事業体系」と書いているところを見ると、自立支援法の再提出と成立が前提。「移行」を行なうというならわかるけれど、「移行支援」って政策レベルでどうするつもりなんだろう。どの党を見ても大変短い文章だけれど、居住、就労の両方に触れているのは公明党だけ。

 続いて、社民党

社民党

3.障害者自立支援法案に反対します
 障がい者に自己責任を押しつけるのではなく、障がい福祉関係予算を充実し、障がい者の真の自立と社会参加を支援します。

 えっ、これだけ? コメントのしようがない。学生でも簡単に書けそうなレベル。

共産党

障害者福祉サービスの利用者負担を、所得に応じた応能負担から、1割の応益負担にかえ、障害者に大幅な負担増をしいる「障害者自立支援法案」は、障害種別や立場のちがいをこえた当事者・関係団体の空前の運動をまえに、廃案となりました。障害が重く、多くの支援を必要とする人ほど重い経済的負担を強いる改悪は、社会福祉の理念に真っ向から反するものです。

また、政府は、介護保険と障害者支援費制度の「統合」をねらっていますが、その目的は、介護保険料の徴収年齢を引き下げて、国民に負担増を求めることです。負担増の“口実”に障害者を利用することなど許せません。

また、障害者も、サービス水準の低下や負担増を押しつけられることになります。

日本共産党は、障害者の自立と社会参加に不可欠な障害者福祉サービスや育成医療・更生医療・精神障害者通院公費負担に、応益負担と大負担増を持ちこみ、障害者のくらしと人権をおびやかす制度改悪に反対します。「障害者自立支援法案」の廃案をうけ、政府の責任で必要な支援費予算を確保し、「予算不足」を口実とした障害者や自治体への負担と犠牲の押しつけを許しません。

そして、障害者関係予算を大幅にふやし、地域生活の基盤整備を集中的にすすめ、障害者がどこでも安心してサービスを受けられるようにします。障害基礎年金の引き上げをはじめ、所得保障制度の改善をはかります。難病や発達障害、高次機能障害といわれる人びとなど、すべての障害者を対象とする総合的な「障害者福祉法」を早急に制定します。精神障害者の医療と福祉を抜本的に拡充します。「障害者差別禁止法(仮称)」を制定し、障害者の「全面参加と平等」を実現します。

 明確に介護保険統合反対を打ち出しているのは、共産党だけ。ただ、自立支援法批判をずいぶん丁寧に書いたものの、対案については抽象度が高い。そして、自立支援法にも介護保険にも反対なのに「所得保障制度の改善」をはかるのはよくわからない。いや、もちろん障害基礎年金が十分な額かどうかは本人が選ぼうとする生活環境にもよるだろうけれど、このタイミングでこの優先順位で言わなきゃいけないだろうか。

 そして、以前にも紹介した民主党

民主党
(3)介護保険の適正化、障がい者福祉の拡充に取り組みます。

(1)介護保険制度の適正化をすすめた上で、エイジフリー化を実現します。

今後高齢化が進展する中でも制度の持続可能性を維持するために、不要不急の介護ニーズの掘り起こしや不適正・過剰な給付などを排除し、信頼できる介護保険制度をめざします。予防介護の適切な実施などの適正化を行いながら、2005年の法改正で先送りされた被保険者と受給者の範囲の拡大(介護保険のエイジフリー化)を2009年度から実施します。また、在宅生活を続けられるよう、必要なサービス供給量を確保します。

あわせて、地域の実情にあった創意工夫により、できる限り在宅生活が続けられる介護施策と、都心における介護付住宅の整備やバリアフリーのまちづくり、高齢者医療の充実などを推進します。

(2)障がい者福祉政策を改革します。
現在、急速に顕在化しつつある障がい者のニーズの動向を見極め、その水準を把握した上で、より総合的で適切な障がい者福祉制度を構築します。精神障がい者についても、同じ水準をめざします。所得保障制度の確立を含め、障がい者福祉予算の拡充を行うとともに、障がい種別(身体・知的・精神)ごとに分かれ、その他の障がいや難病などに対応できていない現在の障がい者政策・法制度を抜本的に見直し、包括的な障がい者福祉法を制定します。

 介護保険のエイジフリー化は明確な意思表示だが、障害者福祉に限ってみれば、一元化した上でしっかり予算を確保するということ以外は特に何も言っていない。

 そして、自民党

自民党
016 障害者の自立した地域生活を支援するための施策を推進
すべての障害者が必要なサービスを受けられるよう、サービスの地域偏在の解消を図りつつ、遅れている精神障害者の保健福祉施策を含めハード・ソフトの基盤を抜本的に充実強化する障害者自立支援法案の早期成立を期する。雇用と福祉の連携による福祉的就労から雇用への移行等を目指した改正障害者雇用促進法の着実な実施を進める。

 「精神障害者の保健福祉」は確かに遅れているが、あえて精神だけ書くのは、精神障害者のことに触れるほうが、知的・身体よりも世間の目を引きやすいからではないかと邪推。

 残念ながら結局のところ、どの党にとっても大した問題ではないのだろう。障害者福祉について書くことは、どのくらい「票」につながると思われているのか。聞いてみたいところ。