泣きやむまで 泣くといい

知的障害児と家族の支援からはじまり、気がついたら発達障害、不登校、子どもの貧困などいろいろと。関西某所で悩みの尽きない零細NPO代表の日々。

サービス評価雑感

90.5%が「満足」「ほぼ満足」 京都市、介護サービス評価結果(京都新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050502-00000015-kyt-l26
 毎年、この評価は行なわれているらしい。昨年もYahooニュースで結果を知ったのだけれど、今年と同様に高い評価が与えられていた記憶がある。いったいどんな調査方法で実施されているのだろう。そして、いったい何が言いたいのだろうか。
 評価の目的は「利用者への情報提供とサービス向上」とされている。この目的は、必ずといっていいほど福祉サービス評価のときに強調される。しかし、利用者によるサービス選択の際に、これらの評価結果はどのくらい活用されたのか。それを実証的に明らかにした研究はまだ見たことがない*1。どこのサービスもこれほど高い評価ならば、もはや「情報提供」として結果を参考にする必要さえないのではないかという気がしてくる。
 先日、自分は「学校評価」をした。地元の養護学校から頼まれたためである。そして、ほとんど「良い」評価でチェックを入れた。養護学校でなされていることの内実もよくわからないし、他の養護学校をよく知らないから比較もできない。「悪い」と言える積極的な理由がなければ、消極的に「良い」というしかない。個人的に「教員のだれそれの態度が悪いことがあった」という経験が少しばかりあっても、一方で「他の教員はみんな態度良好だ」という印象があれば、個別の経験は学校に対する一般的な評価には飛躍させられないから、加味しづらくなる。利用者(あるいは第三者であっても)がサービスに否定的な評価を下すためには、どれほどの情報・知識と覚悟が必要であるかについて、こうした調査を試みる人たちは、もっと知っておいたほうがいい。情報の非対称性や事業者の優位性がさんざん言われているのに、多くの評価手法はいまだに単純である。
 知的障害者の居宅介護サービスに関して言えば、本格的なサービス評価はまだほとんど実施されていない。これから実施されたらどうなるのだろう。もう少し満足度は下がる気がする。そして、低い評価が下される原因というのも、かなり複雑なものになりそうだ。事業者が責めを負うべき部分もあれば、そうでない部分もあるだろう。それでも「高齢者の介護サービスと比べると、知的障害者の介護サービスは質が低い」なんて結果にまとめられてしまうのだろうか。

*1:たぶん無いことはないのだろう。サービス選択の際に情報をどこから得たか、はきっと調査があるはず。